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 ◇ラグビーリポビタンDチャレンジカップ2024 日本19―64ニュージーランド(2024年10月26日 神奈川・日産スタジアム)

 世界ランキング14位の日本は同3位のニュージーランドに19―64で敗れた。WTBジョネ・ナイカブラ(30=BL東京)が先制トライを挙げたものの、終わってみれば45点差の完敗。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)が掲げる「超速ラグビー」で大金星を挙げることはできず、課題を残す結果となった。

 試合開始から5分、6万人超の大観衆を大いに沸かせた。ラインアウトからナイカブラが一気に走り込んで先制トライ。日本がオールブラックスから先に得点を挙げるのは、8度目の対戦で初めてのことだった。しかし、前半20分〜同終了は日本が一度も得点できず、その間に一気に5トライを許して突き放された。

 流れが変わったのは前半22分。ディアンズがハーフライン付近から前に蹴り出すと自らキャッチして独走トライを決めたかに思われた。しかし、その直前にノックオンがありトライは取り消しに。ジョーンズHCはその場面を「残念に思う気持ちが先走ってしまった。感情面で対応しきれず下がってしまった。それが試合の結果につながった」とターニングポイントに挙げた。

 2年前の前回対戦で7だった点差は45に広がったが、完敗の中に収穫もあった。「先に仕掛けていく展開はこれまでなかったこと。最初の20分はとても良い形でプレッシャーをかけられていた」と指揮官。相手のスコット・ロバートソン監督に「超速に値する素晴らしいスタートだった」と言わせるほどだった。

 ジョーンズHCは、27年のW杯オーストラリア大会まで見据え「チームとして進歩し続けている過程。3年かかると思う」と現状を分析。「経験値は積んでいくもの。感情に左右されないことなど、今日の学びを忘れないように」と課題を挙げた。来月は欧州遠征でテストマッチ3試合に臨む日本代表。「超速ラグビー」の完成は、まだまだ先にある。 (前川 晋作)

《ヘル初陣T》 トンガ出身プロップのヘルが、代表デビューで初トライを奪った。後半6分に途中出場すると、同28分にこぼれ球を拾って自ら突破し、最後は相手SOマッケンジーに対して体重127キロの巨体を揺らすステップでかわしてインゴールに飛び込んだ。母国から豪留学を経て19年にクボタ(現東京ベイ)入り。国歌斉唱で感涙した熱い男は「チームメートがハードワークしてくれたからスペースができた。これからもファンに恩返ししたい」と話した。

《NZ 余裕の巻き返し》 ニュージーランドは、最初の20分間こそボールを持てずに劣勢が続いたが、前半22分に中盤スクラムから一気のトライで流れをつかむなど、ハーフタイムまでに5連続トライ。格下の日本相手に貫禄を見せ、日本でプレー経験があるロバートソン監督も「最初は後れを取ったが、その後はしたいプレーを実行できた」と余裕の表情だった。オールブラックスで初のゲーム主将を務めたトゥイプロトゥも前半に自らトライ。前半20分以降は崩れた日本とは対照的に、「うちには優れたリーダーがいるので、プレーしながら改善できた」と、勝因を語った。