扇谷審判委員長がレフェリーブリーフィングに出席(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】

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扇谷審判委員長がレフェリーブリーフィングに出席

 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は、10月24日にレフェリーブリーフィングを実施した。

 あらためて残り数試合となったJリーグの試合に向けた研修会を実施したことが明かされた一方で、扇谷健司審判委員長は、審判員への誹謗中傷について「あまりにも過激なものには対応しなければいけない」と話している。

 JリーグはJ1からJ3まで残り数試合のところに来ているほか、昇格が懸かったプレーオフも控える。またルヴァンカップや天皇杯など、タイトルの懸かったゲームが待っている。現役時代にビッグマッチでの経験も豊富な佐藤隆治JFA審判マネジャーは、9月末から今月初旬に掛けてJ1からJ3までカテゴリー別に研修会を実施したことを明らかにした。

 そして、研修会の趣旨を「残り何節かのところ、やることは変わらず基本に忠実にやっていくけど、見られ方が変わってくると。関心が高まり、緊張感や不安も増して恐怖心も出るかもしれないが、そこに関われるのは限られたレフェリーだけ。無事に終えられたときの達成感はあるし、次にもっと良くしようという気持ちになるのは自分の経験からもそう。残り試合に関われる誇りを持ってほしいし、責任も感じながらやってほしいと話した」とした。

 一方、こうした試合の重みが増してくる時期になると、1つ1つの判定に対する反響も大きくなる。FC町田ゼルビアが誹謗中傷に対する法的措置を取ったことが話題になったが、扇谷委員長は審判員に届く声として、名指しのもの、かなり強いものもあるとした。そして「審判委員会としてもあまりにも過激なものには対応しなければいけない。誹謗中傷を容認するつもりはない。どのクラブも大変だと思うが、そのようなものはなくしていく必要があると思っている」と話した。

 扇谷委員長は良い判定を目指していくことは前提として、「我々もしっかり確認しながらやる中で、JFAとしてどうするかは常に考えている。それとともに、我々としては色々な機会を通してレフェリーの大変さや難しさ、面白さを多くの人に理解してもらうこと。それが進めばそのような声も減ると思う」とも話した。

 接触プレーのある競技の特性上、どうしても意見の分かれる判定は発生する。それがクラブや選手の未来を左右しやすいシーズン最終盤はなおさらだが、悪意のある声が次の判定ミスを呼んでしまうような悪循環の発生を収めるためにも、ルールや審判員への理解と同時に、SNSなどで発信するまでの理性的な行動も必要になるはずだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)