次戦の発表会見でグッドマンに呼びかける井上尚弥【写真:中戸川知世】

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NTTドコモpresents Lemino BOXING 井上尚弥 vs サム・グッドマン 武居由樹防衛戦 発表会見

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が24日、都内の会見で12月24日に東京・有明アリーナでWBO&IBF1位サム・グッドマン(オーストラリア)と4団体防衛戦を行うと発表した。勝てば現役世界最多の世界戦通算24勝(歴代9位)。NTTドコモの映像配信プラットフォーム「Lemino」で独占無料生配信される。戦績は31歳の井上が28勝(25KO)、26歳のグッドマンが19勝(8KO)。

 井上にとって7年ぶりの年間3試合。井上は9月3日に元IBF王者TJ・ドヘニー(アイルランド)に7回TKO勝ち。2度目の4団体防衛を果たし、今度は全勝同士の対決となる。会見では、リモートで出席したグッドマンが最近のYouTubeで「ドヘニー戦でイノウエが冴えなかった」と発言したことが話題に。これに対し、井上は「ちょっといいですか」と自らマイクを握り、モニターのグッドマンに呼びかけた。

「グッドマンと繋がっているので一言、言いたい。ドヘニー戦が『冴えない』という言葉。ドヘニーが塩試合をしたから冴えなくなった。だから、その意気込みで日本に来てもらいたい」

 相手が守備に徹し、消極的な姿勢だったからとした。異例の呼びかけにグッドマンも「東京で会おう!」と返答。KO率42%で試合巧者のグッドマンも守備に徹する可能性がある。井上は会見後にも取材に応じ、珍しく警告を出した理由を語気を強めながら明かした。

「塩試合じゃない。どうせやるなら熱い試合をしたいので。せっかくオンラインで繋がっているので言いました。こっちは長引かせたくない思いで試合をしているし、それを冴えないという感想を持って、グッドマンが同じ試合を選択したら『冴えなくなるよ』と。そこは性格的に塩試合で勝てればいいとは思っていない。倒しに行く。山場をつくる。それに応戦しなければ一方的な試合になるよと。

 ただ、ランキング1位の選手が守備に徹したら倒すのは難しい。その中で勝利を手にするのは変わらない。相手がグッドマンだからパワーじゃなく、スピード重視でいく。その選択肢が適している」

 派手なボクシングでファンを楽しませたいという想いが垣間見えた。

 前戦の当日計量では、ドヘニーが前日計量から11キロも増量した66.1キロ。井上は7.4キロ重い過去最重量の62.7キロだった。スピード重視でいくため、今回は6キロほどの増量に留める計画。「スピードを意識したトレーニング。前回より1.4キロ低ければ相当なスピードになる」と計量後のリカバリーまで見据えて調整していく。

 来春は米ラスベガスでの大型興行も候補。指名挑戦権を持つ元WBA王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が井上戦を熱望している。陣営の大橋秀行会長は「ラスベガスかニューヨークもある。まだ確定していないですが。(グッドマンの次?)そうですね。そのために圧勝しないと」と期待。アフマダリエフ陣営はWBA王座の返上の必要性まで指摘しているが、「それはない」と否定した。

 同日には、同門のWBO世界バンタム級王者・武居由樹も2度目の防衛戦を行う。対戦相手は調整中のため後日発表。武居は5月の東京D興行でジェイソン・マロニー(豪州)から王座奪取すると、9月3日の比嘉大吾(志成)戦で初防衛に成功。元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーに師事している。戦績は28歳の武居が10勝(8KO)。

(THE ANSWER編集部)