記事のポイントCMOは、限られた資金でビジネス成果を出すというプレッシャーに直面している。ヒンジのCMO、ジャッキー・ジャントス氏は、短期的な指標にとらわれず、長期的なビジネスの成長を重視する姿勢を強調。Z世代は、社会的に正しい行動をするブランドに共感し、価値観を共有することを重視する。
最高マーケティング責任者(CMO)は、経営の最高責任者クラスにおける自分たちの役割という古くからの課題に改めて取り組んでいる。マーケターは、マーケティングをビジネスの成果に結びつける(しかも、より少ない資金でより多くのことをこなすよう求められる)というプレッシャーに直面しており、今日のビジネス環境においてその仕事はより難しくなっている。ヒョンデ(Hyundai)やスターバックス(Starbucks)のように、ここ数カ月のあいだにCMOの役職を完全に廃止した企業もある。あらゆる変化のなかで職務を果たすことは困難を伴う。しかし、マッチングアプリ「ヒンジ(Hinge)」のCMO、ジャッキー・ジャントス氏は、短期的な指標にこだわらず長期的なブランド構築を優先するようなチャレンジを歓迎している。ジャントス氏はDIGIDAYポッドキャストの最近のエピソードで次のように話した。「究極的には、CMOとしてのゴールが持続可能な長期的なビジネスを構築することであるならば、10年先を見据えて矢を射る必要があり、自社製品がその矢をどのように誘導し、自社ブランドがその過程でどのように関連性を保つかをより良く理解する必要もある」。以下は会話のハイライトで、わかりやすさのために一部編集し、まとめている。

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CMOの役割についての議論

CMOは、所属する組織内でさまざまな色合いを持つ。 私の場合、CMOとしての役割は、長期的な成長を軸に組織や戦略を方向づけること、そして消費者やオーディエンス、カルチャーの行く先に注意を払うことだと思っている。結局のところ、CMOとそのチームは、オーディエンスに最も近いところにいる人たちだ。彼らがもっともクリエイティビティとつながっている。彼らは、カルチャーが新しく形作られる方法、オーディエンスが向かっているところ、世界が進化しているところと、もっとも近くでつながっている。

任期の変化

私にとって、CMOの役割、そのネーミング、そしてその任務全般は、短期的な目標とある種の即時的な目標と優先事項の健全なミックスであるべきだ。しかし重要なのは、長期的な目標と長期的な優先事項がそこに極めて健全にミックスされていることだ。また、任期が短いことの課題のひとつは、1年後の評判のように、測定が難しく長期的なものを基準に、世界規模でブランドへの影響を見ることができるかということだ。それができるかどうかはわからない。ある意味、本当に長期的な視点に立っているのであれば、おそらく、一定期間は役職に留まりその実現を見届けたいと思うようなCMOになりがちだ。

マーケティングの社会的影響

もうひとつの現実は、Z世代のオーディエンスは、世の中のために正しく行動し、自分たちのためにも正しく行動しているブランドにより親近感を感じているということだ。そして彼らは、自分たちと価値観を共有するブランドとの結びつきが強い。Z世代のオーディエンスにフォーカスしたマーケターや製品開発者であれば、彼らの人生全体について考え、どうすれば彼らにもっと良いサービスを提供できるか、彼らが毎日どう感じ、どう見せるかを形作る、もっとも影響力のある現実にどう貢献できるかを考えていなければ、おそらくは、彼らの人生において本当に適切な役割を果たすことはできないだろう。[原文:In data-obsessed marketing landscape, Hinge CMO Jackie Jantos talks brand building]Kimeko McCoy(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:戸田美子)