12月から健康保険証の新規発行が終了に!? 事前にやっておくべき準備とは?

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今年の12月2日以降、これまでの健康保険証の新規発行が終了し、マイナンバーカードの健康保険証(マイナ保険証)としての本格運用がスタートします。

でも、実際にスタートした後に何がどんなふうに変わるのか、いまひとつ理解が追いついていないという人も多いはず。そこで今回は、運用スタートに向けてやっておくべきことやどのようなメリットがあるのかについてまとめて解説します。

健康保険証の新規発行が廃止に!

マイナンバーカードがマイナ保険証として利用できるようになったのは2021年10月のこと。これまでは導入移行期間としてマイナンバーカードを保険証として利用するかどうかは個人の希望に任されていましたが、12月2日以降は健康保険証そのものの新規発行が終了することに。すでに発行されている健康保険証については引き続き利用が可能ですが、その猶予期間は1年。2025年12月2日まで以降はそれも利用できなくなります。つまり今後は、半ば強制的にマイナンバーカードが健康保険証を兼ねる時代に入っていくことになります。

とはいえ、マイナンバーはかなり様々な個人情報と紐付く非常にセンシティブな情報でもあります。そのため、普段からマイナンバーカードを持ち歩くことに不安がある、健康保険証とマイナンバーカードは別々のままがよかったのに……と思っている人も少なくないかもしれません(私もそのひとりです)。

でも、マイナンバーカードを健康保険証として使うことには、いくつか大きなメリットもあります。

マイナ保険証として利用するメリット

大きなメリットのひとつとして挙げられるのが、様々な医療情報がマイナンバーをハブとして一元管理されることで、より適切な医療を受けられるようになるということ。

それぞれの医療機関や薬局でマイナ保険証を提示した際に情報の提供に同意すると、これまでそれぞれの医療機関や薬局で別々に管理されていた診療の履歴や処方された薬の情報、健診結果などの情報が集約されていき、必要に応じて医療関係者が閲覧できるようになります。結果として、より総合的な診断ができるようになったり、飲み合わせの悪い薬や重複する薬の処方を回避したりできるようになったりすることが期待されています。

また、健康保険には1ヵ月の間に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が一定金額を超えた場合、その超えた金額を支給する「高額療養費制度」がありますが、これまでは事前に自治体などに限度額適用認定証の交付を申請するか、一度窓口で立て替え払いをし、あとから給付の申請をするというのが基本の流れになっていました。

しかし、マイナ保険証を提示すれば、高額な医療費が発生する場合でも、一定金額を超えた分について医療機関や薬局の窓口で立て替え払いをしたり、事前に限度額適用認定証の交付手続きをしたりする必要はありません。この点もマイナ保険証を利用することの大きなメリットと言えるでしょう。

引っ越し・転職時のタイムラグが少ない

国民健康保険に加入している人であれば、引っ越しの都度、住所変更の手続きが必要です。また、会社員の人であれば、転職する都度、健康保険証を新たに発行してもらう必要があります。

こうした場合、従来の健康保険証であれば、新しい保険証が手元に届くまで待つ必要がありましたが、マイナ保険証の場合、住所変更や新しい健康保険への加入手続きさえ完了していれば実際のカードの到着を待たずに医療機関や薬局で利用することができます。

また、確定申告で医療費控除を受ける場合にも、マイナ保険証を使用して受診をしていれば、マイナポータルから受診記録が参照できるため、領収証を保管したり、提出したりする必要がありません。このような医療費控除の申請が簡単にできるということもマイナ保険証のメリットと言えます。

マイナンバーカードを健康保険証として登録するには?

12月2日以降、健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証の本格運用がスタートするとはいっても、自動的に切り替わるわけではありません。マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにするためにはマイナンバーの取得とは別に利用登録が必要です。

利用登録の方法は3つあります。1つ目は、顔認証付きカードリーダーからの登録。医療機関や薬局の窓口にある顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置き、「健康保険証として登録する」というボタンを選択することで利用登録をすることが可能です。

2つ目は、マイナポータルからの申請です。マイナポータルの「保険証等利用登録」というところから進み、暗証番号を入力し、マイナンバーカードを読み取ることで、利用登録が完了します。

3つ目はセブン銀行ATMを使った利用登録です。全国のセブン銀行ATMから初回登録の手続きをすることができます。

すでに利用登録をしているのかどうかがわからないという場合には、マイナポータルにログイン後、「登録状況の確認」から確認することができます。「登録済」と表示される場合には、そのまま健康保険証としての利用が可能です。

マイナ保険証を利用登録しないとどうなる?

すでに発行されている健康保険証が利用できるのは、2024年12月2日から1年の猶予期間の間だけ。それ以降は現在の健康保険証は使えなくなります。

とはいえ、それまでにすべての人がマイナンバーカードを取得し、かつ利用登録をするかというと、高齢者など手続きをすることが難しかったり、どうしても登録に抵抗があって利用登録をしたくなかったりと、それぞれに事情があることも想定されます。

そうした人が医療機関を受診したり、薬局で薬を購入したりする際に重要になってくるのが、健康保険組合から発行される「資格確認書」です。「資格確認書」には健康保険の被保険者としての情報が記載されており、それを窓口で提示することで、健康保険証と同様の自己負担で医療サービスを受けることができます。なお、「資格確認書」の有効期間は5年となっています。

マイナンバーカードは安全なのか

遅かれ早かれマイナ保険証の利用登録をしなくては……と思う反面、「プライバシーはちゃんと保護されるの?」「必要以上の情報が提供されそうで不安」と、すぐには利用登録に踏み切れない人もいるかもしれません。

厚生労働省の説明によれば、医療機関や薬局でマイナ保険証を提示したからといって自動的に情報が提供されるわけではありません。あくまでも自分が提供することに同意した情報のみが関係者に提供されます。また、マイナンバーカードのICチップ自体に保険証情報や医療情報が入っているわけでもありません。万が一、マイナンバーカードを紛失したり、盗難に遭ったりした場合はいつでも利用の一時停止ができます。さらに暗証番号を一定回数間違うと機能がロックされるだけでなく、不正に情報を読み取ろうとするとチップが壊れる仕組みもあるようです。

健康保険証は私たちにとってとても馴染みの深いもの。でも時代は着々と変化しています。スムーズに医療サービスを受けるためにも、12月2日以降のマイナ保険証の本格運用スタートに向けて理解を深めておきたいところです。

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