トヨタが斬新「ランクル車椅子!?」公開! オフロードタイヤ装着のすごいヤツ!? 悪路でも「移動の自由を」 市販化も視野に
これぞ、トヨタが本気でつくる電動車いすの「ランクル」版!? 量産に向けた動きあり!?
「なにこれ、ランクルっぽいじゃないか!」と話題になっている、トヨタのある製品があります。
ランクルらしさがある製品とはどのようなものなのでしょうか。
それは「第51回 国際福祉機器展&フォーラム」にトヨタが出展した「JUU (ジェイユーユー)プロト」のことです。
【画像】「えぇぇぇぇ!」これが悪路走れる小さな小さなランクル!?です。(30枚以上)
トヨタは毎年、この展示会で福祉に関するさまざまな機器を発表しています。
2024年は、「ノア」や「シエンタ」などのウェルキャブや、歩行領域をアシストする超小型BEV「C+walk」シリーズ」、災害時や催事で必要性が高まる移動型トイレの「モバイルトイレ」。
そして能登半島地震での支援者向けなどで活躍したハイエースをベースとしたミストサウナ装備を搭載した「NUKUMARU」など、量産済みまたは量産レベルの技術が披露されました。
そうした中、「ランドクルーザー250」の実車の姿もありました。
これは、二輪車のハンドルをベースに、アクセルとブレーキなど足元の操作系をステアリングホイールに集約させたコックピット「ネオステア」のコンセプトモデルです。
トヨタによれば、同車の開発にはパラスキーの日本代表選手がアドバイスをしており、開発の過程で電動車椅子の必要性が議論されるようになったと言います。
例えば、ランクルで悪路を走破した後、ランクルから降りてから安心して使える車椅子が市場には存在しないというのです。
そこで、トヨタは悪路走行も可能な電動車椅子の研究開発を本気で始めています。
ベースになっているのが、「JUU(ジェイユーユー)」です。
Jは、Joy と Job。Uは、UniversalとUbilityを指し、トヨタが掲げる「全ての人に移動の自由を(モビリティ・フォー・オール)」を電動車椅子のカタチとして具現化したもの。
JUUの初号機で、長い尻尾のような形状のパーツによってかなり段差の大きな階段でも安定して走行できることなどが注目されています。
これまで、各種の展示会などでJUU初号機は出展されており、筆者も試乗体験してその巧みな動きに驚いたことを思い出します。
そうしたJUUに対して、実際に車いすを使用している人から、さまざまな声が寄せられてきました。
その中には、機能性はあるていど限定されてもよいので「もう少しサイズが小さくならないのか?」という声があり、それに対応したのが今回も展示があった「JUU ライト」という姿になりました。
一方で、よりハードな走行条件でJUUを活用したいという声に答えるのが、今回展示された「JUUプロト」なのです。
JUU プロトの開発には、ランドクルーザーの開発に携わる人たちも当然いて、機能やデザインなどにランクルのエッセンスを盛り込んでいます。
具体的には、操縦安定性を高めるために、コイルバネとショックアブソーバーによるサスペンション機構を取り入れています。
また、走破性を上げるために電装部品を地上からできるだけ高い位置に配置しました。
バッテリーは車体両サイドの高い位置で、筒状デザインとした部分から取り外して充電可能な設計としています。
こうしたハードユースへの対応によって、自然災害などの有事における高齢者や負傷者を遠隔操作で移動することなども念頭に置いた研究開発も検討していきたいとのことです。
まさに、電動車椅子のランクル版といえるJUU プロトについては今後、さまざまな利用シーンを想定した実走行テストが本格的に行われることを期待したいところです。
そのほか、電動車椅子のユーザーからはもっと気軽に「神社やお寺などに行きたい」という声があると言います。
階段が多かったり、また砂利道である場合が少なくないからです。
そうした場所で、JUUプロトのようなモデルのレンタルサービスも考えられるのではないでしょうか。
一方で、筆者としてトヨタに要望したいのは、電動車椅子を含めてさまざまなモビリティに対するサービス事業全体の標準化です。
電動車椅子には、トヨタやスズキなど自動車メーカーのほか、中小さまざまな事業者が自社開発や販売を行っています。
そうした中で、新車販売事業者(ディーラー)で普通車は商用車に加えて、多様な電動車椅子のメンテナンスを、メーカーの枠を超えて実現できるような仕組みづくりが必要かと感じます。
また道路交通法では、電動車椅子は「歩行者扱い」の右側通行となっていますが、先に特定原付に対する法整備が進んだように、次世代の電動車椅子に対する新たな考え方を社会全体で議論するべき時期だと思います。
電動車椅子のランクル版であるJUUプロトは、トヨタが本気で考える未来モビリティの姿のひとつ。
こうした試みが、次世代に向けた社会変革の発想の一助になるのではないでしょうか。