ブレイクダンスのヘッドスピンはダンサーの頭部に「ヘッドスピンホール」ができるリスクがある
何度もヘッドスピンをするブレイカー(ブレイクダンスの踊り手)特有の症例があるとして、コペンハーゲン大学病院の脳神経外科専門家が「ヘッドスピン」と「抜け毛や炎症」の関連についてまとめました。
‘Headspin hole’: an overuse injury among breakdancers | BMJ Case Reports
https://casereports.bmj.com/content/17/9/e261854
https://arstechnica.com/science/2024/10/breakdancers-at-risk-for-headspin-hole-doctors-warn/
ブレイクダンスは1970年代に登場したダンスで、複数の世代にわたり継承され、2024年夏のオリンピックでは正式種目としてデビューしました。激しい動きで見た目は華やかですが、その分ダンサーへの負担も大きく、時には捻挫や腱鞘炎などが発生することがあります。
コペンハーゲン大学病院のミッケル・スコッティング氏らが報告したところによると、ブレイカーには「ヘッドスピン・ホール」や「ブレイクダンス・バルジ」と呼ばれる奇妙な症状が見られることがあり、ヘッドスピンを繰り返すことで頭部に異常を来す可能性が懸念されるとのこと。
たとえば、2009年に行われた106人のブレイカーを対象とした研究では、60.4%のブレイカーがヘッドスピンのために頭皮を酷使した経験があり、そのうちの31.1%が脱毛、23.6%が頭のこぶ、36.8%が頭皮の炎症を経験していたとのことです。また142人のブレイカーを対象とした2023年の研究では、週に3回以上ヘッドスピンの練習をしている人は抜け毛に悩まされる可能性が非常に高いと報告されています。
30代前半の男性ブレイカーから「頭頂部にこぶがある」との申し出を受けて治療を求められたスコッティング氏は、手術の過程で得られた知見を詳細に分析した結果、この患者に「皮膚や組織、頭蓋骨の肥大化」が認められたと報告しました。
スコッティング氏によると、このブレイカーは1回90分のブレイクダンス・トレーニングを週に5日実施していて、おおむね2分から7分の間隔でヘッドスピンを繰り返していたそうです。ところが、結果として頭頂部にしこりが発生して著しく大きくなり、ブレイカー本人も圧痛が増していることに気づいていたとのことです。
手術の結果しこりは良性であることが判明したそうですが、スコッティング氏は「この症例はブレイカーに見られる症状を認識することの重要性を強調するものであり、外科的介入が効果的な治療法であることを示唆している」と伝えました。