「芽が出たさつまいもを捨てないで!」毒がない芽よりも“切り口”で鮮度チェック…おすすめの品種を聞いた

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秋の味覚として人気のさつまいも。保存しておいたら、いつの間にか「芽が出ている!?」という経験はないだろうか?

その際、もったいないけれども捨ててしまっていた人もいると思う。「じゃがいもの芽には毒がある」という話を聞いたことがあるならば、なおさらだ。

じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンという毒素が多く含まれている。これらの毒素を口にすると、吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出る可能性がある。

一方で、同じ「イモ」という名前が付いているが、さつまいもの芽に毒性はないという。

「芽が出たさつまいもは… 捨てないでください!!! 」とSNSで発信するのは、“八百屋歴10年以上”の野菜のプロとして、様々な豆知識を伝えている青髪のテツさん(@tetsublogorg)。

では、芽が出ていても食べてもいいのだろうか?おいしいさつまいもの選び方も合わせて青髪のテツさんに聞いてみた。

芽に毒はなく食べてOK

「さつまいもの芽が出ると、毒があると勘違いして捨てている方がいますが、毒はないのであまり気にする必要はありません」と、青髪のテツさん。

あまり気にすることがないということは、食べてもいいのだろうか。

 

「じゃがいものように芽をしっかりとって食べないといけないという意識はもたなくても良いでしょう。炒めて食べることもできますが、すじが多く、そんなにおいしいものではないので、あえて食べる必要はないと思います」

青髪のテツさんによれば、芽が出てしまったさつまいもの鮮度をチェックするには、芽の長さよりも、両端の切り口周辺を見ると良いという。

「柔らかいと腐っています。また、切り口にカビが生えているものは中までカビ臭くなっているので避けましょう」

芽が出るまで放置しても食べられるさつまいも。ただし、芽が出たら早めに食べることを勧めている。

「芽はさつまいもの養分を使って成長するため、芽が出るほど放置すると味や栄養は落ちてしまうのです」

保存方法としては、「水分と寒さに弱いので、ペーパーに包んで常温の冷暗所での保存がベストです」とのこと。

さらに、おいしいさつまいもを味わうためには、芽が出ていないか定期的に確認することを忘れないでほしい。

選び方のポイント

さつまいもの芽の取り扱いについては分かった。では、どのようなさつまいもを選ぶのが良いのだろうか。

 

「さつまいもは収穫後に熟成させて、でんぷんを糖に変化させることで甘くなります。そのため、10月頃でもおいしいですが、買うタイミングは11月くらいからがおすすめです。また、皮に艶がある、あまり凸凹していない個体を選ぶと、繊維が少なく食べやすいですよ」

そして、 品種選びも大切だと続ける。

「甘いものがよければ『紅はるか』や『安納芋』がおすすめです。料理によって甘さ控えめがよければ『なると金時』がいいのかな」

具体的に、それぞれ以下のような特徴があるとのこと。

おすすめ品種の特徴と合う料理

【紅はるか】
肉質がしっとりとしているのが特徴。一般な店で出回っている品種の中では糖度が抜群に高く、上品な甘みで多くのファンを魅了している。
おすすめ料理:焼き芋、パンケーキなどのスイーツ

【安納芋】
ねっとりとした食感で、紅はるかと同様に糖度が高い。 カロテンがニンジンと同じくらい含まれている品種で、青髪のテツさんは「少しニンジンっぽい味」と表現する。
おすすめ料理:焼き芋、スイーツ

【なると金時】
少し控えめで上品な甘さが特徴。ホクホクとした食感。
おすすめ料理:炒め物、味噌汁の具、天ぷら

さつまいもの芽に毒はなく、安心して食べられるとのことだが、よりおいしく食べるには、正しく保存して芽が出ないうちに食べたほうがいいようだ。また、青髪のテツさんのおいしいさつまいもと品種の選び方も参考に、秋の味覚を楽しんでほしい。

青髪のテツ
10年以上スーパーの青果を担当した経験を元に、野菜や果物の選び方や保存方法、食べ方などの豆知識を、X(旧Twitter)やブログなどで発信している。