75歳以上のドライバーに必須「認知機能検査」テストの中身…準備がなければ《不合格》の可能性も

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超高齢化を迎え、さまざまな社会問題がひずみとなって日本社会をゆさぶっている。なかでも、ここ最近の高齢者による自動車事故が報道でも頻発するようになった。

2022年末・内閣府の調べによれば、75歳〜79歳までの年齢で運転免許所を持つ人の割合は54.8%。さらに、80歳以上でも22.8%と、約5人に1人が事実上“運転可能”とされている。

高齢者はさまざまな認知機能が低下するため、日本では、75歳以上の免許所有者に対して、更新の際に「認知機能検査」を受検しなければならないルールを設けている。

ではいったい、どんな問題が出題されるのか…? その一例をベストカーが編集した書籍『運転免許認知機能検査 完全攻略本』より以下に紹介する。

意外と難しい「認知機能検査」

現在は、75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故の割合が上昇している現状だ。その背景には認知症が起因することが少なくなく、その対策として警察庁が75歳以上のドライバーが運転免許更新する際に義務化しているのが「認知機能検査」だ。

4枚が1セットになったイラストを約1分間で記憶することが1セット。同様のことを続けて3セット、合計4セット実施し、トータル16枚のイラストを合計約4分間で記憶するという中身。

そして「その16枚のイラスト、何が書いてありましたか?」というのが出題内容。検査官の諸注意などの説明から検査終了まで、全体で約15〜20分ほどの検査時間となっている。

合格ラインは36点

その「認知機能検査」を、もう少し具体的に紹介しよう。以下が「認知機能検査」とほぼ同じものだ。

「手がかり再生」というもので、上段の「戦車、太鼓、目、ステレオ」という4枚のイラストが1セットで、それを約1分で記憶。続けて、下段の「トンボ、ウサギ、トマト、やかん」という4枚のイラスト、1セットを同様に約1分で記憶する。

同様のことを2セット行い、トータル16枚のイラストを合計約4分間で記憶し、「何が書いてあったかを解答する」という内容で、それぞれのイラストにある「ヒント」を手がかりに覚えるのがコツだ。

記憶力はもちろん、脳の柔軟性が問われ、100点満点のうち合格ラインの36点が取れれば、認知症の恐れはないとされるが、それ未満であれば専門医の診断書の提出がなければ免許の更新はできない。

実際に61歳の筆者もやってみたが、全問正解とはいかなかった。検査となれば日常とは違う緊張感のなかで、何の準備もなく合格ラインに達するのも難しいに違いない。

「一般的には30代から。加齢とともに脳は縮んでいき、老化していきます。でも、老化現象だから仕方ないとあきらめる必要はありません。脳は使えば使うほど鍛えられ、老化のスピードを遅らせることができるのです」

こう話すのは、現在、東京医科大学茨城医療センターで脳神経疾患の専門診療に携わりながら、認知症の早期発見や予防研究も行う、脳神経内科専門医・塚本浩先生だ。

「脳はいくつからでも成長させることができる、ということは医学的にも証明されています。脳を活性化させる脳活ドリルを、日頃から継続的に行うことで、脳の老化を食い止めることが期待できるということです」

脳神経内科専門医・塚本 浩先生が監修する「脳活ドリル」、上で取りあげた「穴埋め計算」もその一例。1〜18の計算式、それぞれの〇のなかに「+、−、×、÷」を入れて計算が成り立つようにする出題だ。

「脳を鍛えるコツ」としては、空いたスペースにペンなどで数字を書かずに、頭のなかで考え、計算することが大切。そうしないと「脳活」にならないのだ。

「いつもと同じような生活で日々を過ごすと、脳老化の進行は早くなります。新しいことにチャレンジすることで脳に刺激が与えられます。脳活ドリルも、その刺激のひとつですね」(塚本先生)

脳活ドリル、「認知機能検査」を突破するカギになりそうだ。

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