10番ティーショットを放つアン・シネ(カメラ・今西 淳)

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 女子プロゴルフで今年約5年ぶりに日本ツアーに復帰したアン・シネ(33)=韓国=が22日、電撃引退を表明した。宮城・利府GCでのミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン最終ラウンド後に「この大会が最後。最後は日本で終わりたかった」と口にした。父・ヒョージュンさん(71)が闘病中。「何より一番大きな理由は、父と一緒にいる時間を少しでも長く持ちたかったから」と理由を明かした。

 今大会後に行われるリランキングでシーズン終盤戦の出場資格を得られなかった場合は「引退」と決めて臨んだ1週間だった。仲良しの河本結には伝えていた。大雨のなかホールアウトしたアン・シネは、待っていてくれた河本の涙を見た瞬間「もらい泣きしてしまった」。抱き合った後、クラブハウスで昼食をともにし、再会を誓った。

 韓国ツアーで活躍したアン・シネは、2017年5月のワールドレディスサロンパスカップで日本ツアーデビュー。モデルのようなスタイルとファッションから「セクシークイーン」と呼ばれ、多くのファンに愛された。「充実したゴルフ人生だった。韓国ツアーでも優勝できたし、日本のツアーにも参加できて、たくさんのギャラリーから応援の言葉をいただいた。最後に一つ悔いが残るのは、大勢の前で『今日まで頑張りました。明日から新しい人生を歩みます』という話ができなかったこと」と語り、「今日のような大雨のなかでも応援してくれて、ファンの皆さんには感謝の言葉しかない」と目を潤ませた。

 今後は韓国に戻り、父と過ごす時間を何よりも大切にしていく。セカンドキャリアについては「まずは休みながら、ゴルフに携わる仕事、事業、ビジネスだったりを、じっくり考えてみたい」と口にした。「私にとってのゴルフとは、パスポートナンバーのように常に自分についているもの。自分自身のアイデンティティーだった。今はパスポートを更新しなければいけない、交換しなければいけない時期」。そう言ってほほえみを残し、セクシークイーンはコースを去った。