都内の至る所にあるスタバをシゴトバにする人は多い

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スタバがシゴトバになっている

 スターバックスコーヒーといえば、新作のドリンクが出るたびにいつもSNSで話題になる大人気コーヒーチェーン店だ。そんなスタバに対して、SNS上では不満の声も上がっている。気になった不満のひとつが、スタバの店内でテレワークをしているビジネスパーソンが非常に増えたことだ。そのせいで都心の店舗などはいつも混雑し、座れない客が多いのだという。

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 コロナ騒動によってテレワークが普及したが、喫茶店でパソコンを広げ、長時間にわたり黙々とタイピングする人を、もはや見かけない日がないほどお馴染みの光景になっている。なかには、わざわざマイクを使い、リモート会議や打ち合わせをしている人まで目に付く。「ここはシェアオフィスじゃねーぞ」と突っ込みたくなるが、スタバが完全にシゴトバになっているのである。

都内の至る所にあるスタバをシゴトバにする人は多い

 筆者がよく行く埼玉県内のスタバでも同様の例が見られるが、パソコンのタイピングはさておき、リモート会議は明らかに問題だ。周りの客に迷惑であるのは言うまでもないのだが、どう考えても外に漏らしてはいけないような重要な情報を、周りに聞こえる音量で話す人がいるのだ。以前、顧客のカードの暗証番号と思われる数字を、周りに聞こえるような声でしゃべっている人がいた。果たしてこれは大丈夫なのか、と不安になってしまう。

仕事をする客のせいで座れない

 スタバでどんなに仕事をしようと、店内がガラガラであれば特段何も不満はない。問題なのが昼時のように混み合っているタイミングである。コーヒーのグラスを片手に椅子を探している人の姿もあるのに、パソコンのタイピングに夢中で席を退かない人が多い。しかもそういった人は、たいていコーヒーがグラスに残ってない状態だったりする。早く退席してほしいものだ。

 こういった長居する客のせいで座ることができず、イライラした経験がある人は読者にも多いのではないだろうか。スターバックスは少なくともテレワークをする場所ではない。コーヒーを純粋に楽しみたい人たちが、ビジネスパーソンのせいで居心地を悪く感じ、スタバ離れを起こしてしまわないか心配である。

 はっきり言って、筆者もスターバックスで仕事することがある。なので、あまり文句を言うことができる立場ではない。しかし、何事にも限度があると思う。手元のコーヒーがなくなっても何時間も座席を占領し、仕事に没頭するのは、さすがに褒められたことではない。せめてもう一杯、コーヒーでもキャラメルマキアートでもなんでも構わないので、オーダーするのがマナーというものだろう。

地方民にとってスタバは憧れの店

 それにしても、なぜ、人はスタバでそんなに仕事をしたがるのだろうか。筆者の友人の編集者はスターバックスのヘビーユーザーなので、話を聞いてみた。

スターバックスの椅子は固いですし、コメダ珈琲などと比べてもそんなに居心地が良いわけではありません。ところが、不思議なもので、そのほうがかえって集中できちゃうんですよ。スタバの魔力と言っていいかもしれません。あと、僕は田舎出身なので、スターバックスで仕事をしている自分にちょっと酔っているのかもしれませんね」

 確かに、地方出身者にとってスタバは憧れの存在であり、都会的なコーヒーチェーンの象徴と見なされていることもある。地方都市にスタバができると行列ができるし、以前に町おこしの活動をしている高校生グループを取材したとき、一人の生徒が「古民家にスタバを入れて活性化」なるアイデアを発表したことがあった。ドトールやベローチェ、コメダ珈琲にはない、スタバには独特のブランド力が存在するのだ。

 話を元に戻す。一種のスタバ中毒になっているビジネスパーソンが多い理由を、先の編集者はこう語る。

スターバックスはコーヒーを格安でおかわりできるワンモアコーヒーのシステムがあるので、長居がすごくしやすいんですよね。あと家族連れがそんなに多くないので、仕事に集中できるのです。店内の音楽も耳に心地よい。あと、スターバックスのWi-Fiはすごく効きが良い。いろんな面で他のコーヒーチェーンより優れている点が多いので、非常に重宝します」

重要な情報を人目に付く場所に置くな

 ところで、これはスタバに限った問題ではまったくなく、完全に客側の問題なのだが、テレワークの普及で非常に気になっていることがある。先ほど例に挙げたリモート会議をする客と同様に、喫茶店で重要な資料を広げ、しかも人目に付くような状態にしている人がとにかく目に付くのである。

 筆者がそうした“ヤバい”光景を目にしたのは、一度や二度ではない。例えば、池袋のある喫茶店で、筆者はかなり重要と思われるデビュー前のアイドルの内部資料を広げ、仕事をしている人を見たことがある。明らかに業界関係者であろう。また、ある広告代理店の社員と思われる人が、プレゼンの資料をやはり誰にでも見えるように広げながらパワーポイント作りに励んでいる姿を見たこともある。

 他にも、ここに書けないような機密情報を、完全に無防備で人目に付く状態で扱っている人を何度も見た。おそらく、同様の経験をした人は読者にもいると思う。誰かがもしそれを見てXに載せてしまったら、大問題になるだろう。喫茶店で会社と同じように資料を扱っている人があまりに多い。正直言って、テレワークの普及は考えものだと思う。

 筆者は「デイリー新潮」で仕事をしているとはいえ、そういった情報を勝手にネットに上げるような浅はかなことはしない。しかし、先に述べたような無防備な状態で晒されている情報が、もし暴露系YouTuberの目に止まってしまったら大変なことになってしまうのではないか。いや、一般人の方がそういった何気なく見た情報をネットに載せてしまう傾向が強いので、余計に恐ろしい。筆者はテレワークの普及による個人情報の漏洩が心配だ。本当にセキュリティは大丈夫なのだろうか。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部