中日・立浪監督(左)と西武・松井監督=2023年交流戦で(C)共同通信社

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「監督自身はもちろんですが、彼らを指揮官に据えた球団も、チーム強化のビジョンを持っていたのかどうか、ということです」

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 こう話すのは西武やロッテで活躍した名球会会員の山崎裕之氏だ。

 18日、中日の立浪和義監督(55)が今季限りでの退任を発表。今季が3年契約の最終年で、3年連続最下位が現実味を帯びる中での決断だった。

 昨19日の全体練習でのミーティングで、選手やスタッフらに改めて報告。「勝たせてあげられなくて申し訳ない」と話したという。

 西武も5月、松井稼頭央監督(48)が休養を発表。渡辺GMが監督代行として指揮を執っているが、事実上の解任だ。

 立浪監督と松井監督は、それぞれ中日と西武で活躍した、球界を代表するスタープレーヤー。立浪監督はNPB球団でのコーチ経験がなく、松井監督は3年間の二軍監督、1年のヘッドコーチ経験と違いはあるものの、いずれも球団が満を持して監督のイスに据えた「切り札」でもあった。それが結果を出せず惨敗。結果として、本人たちの名声を落とすだけとなった。

 冒頭の山崎氏が言う。

「言うまでもありませんが、人気選手を監督にしただけで勝てるわけがない。監督の手腕が突出していればともかく、そうでなければ球団がいかに資金を投入してバックアップできるか。適した人材がOBにいなければ優秀なスタッフを外部から呼び、助っ人などの補強もケチらずにやれるか。日本ハムの新庄監督もスター選手ですが、2年連続最下位から現在2位。これは新庄監督の型にとらわれない采配に加え、球団が長期的なチーム強化のビジョンを持ち、補強なども惜しまなかったからです。そうした球団の努力が今の中日や西武には欠けています」

 現役時代に人気があった選手を監督にすればファンは喜ぶが、勝てなければそれも長続きしない。立浪監督や松井監督がそれを実証した。

「例えば、『球界の寝業師』と呼ばれた根本陸夫さんは西武時代、『今のメンバーは勝ちに飢えている。厳しいけど優秀な広岡達朗が最適だ』と判断し、球団OBでも何でもない広岡さんを監督として招聘。いきなりの2年連続日本一で自らのビジョンを結実させると、その後の黄金時代につなげた。球団に一番必要なのは、『勝つことでファンに喜んでもらおう』という考え。それを実現するための首脳陣人事や補強をすることです」(前出の山崎氏)

 立浪・松井の両氏はその意味では、球団の犠牲者とも言えそうだ。

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 開幕からほどなくして休養に追い込まれた松井監督は、もともと渡辺GM兼監督代行との間に「亀裂」が生じていたという。いったいどういうことか。突然の休養の裏で本当は何が起きていたのか。

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