宇宙があなたに猫を託す

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よく「心の準備ができた人には、自然に猫が授けられる」といわれています。現に、どこからともなくやってきた猫を、そのまま飼い始めたという人は多いはずです。

この現象を「The Cat Distribution System」 (CDS:猫流通システム)と名付けたのは、TikTok ユーザーの「@hermes.the.cynic」さんです。2022 年にこの言葉を使い始めました。

日本では「ねこねこネットワーク(NNN)」と表現されることもありますね。適性のある人間の元に最高のタイミングでNNNが猫を派遣してくるしくみで、猫とマッチングさせられた人間は喜んで猫の面倒を見るようになる…というもの。

「宇宙はときに猫をプレゼントしてくれます」と「@hermes.the.cynic」さんは TikTok 上で語っています。

「猫が人間の前にあらわれるのは、宇宙から猫を託されたため。宇宙はあなたを善人だとみなして、子猫を与えてくれるのです」

子猫がやってきた!

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2024年8月のある日、Matt Ramseyさん(35歳)は仕事場の外で茶色の子猫を見つけました。彼は「どうすればいいのかなあ」と説明を添えて、子猫が彼の足によじ登ろうとしている動画をXに投稿しました。

とりあえずおもちゃや餌、おやつ、水入れを用意し、獣医の予約まで取りました。肩に乗るのが好きな猫なので、「Dandruff」(=ふけ)という名前もつけました。

これに対して、ネット民からは多くのコメントが寄せられました。多くの人が「子猫の出現は偶然ではない」と考えています。人間には制御できない神秘的な現象「CDS」によるものだというのです。

SNS上では、突然やってきた猫の話や、「CDSで、猫にふさわしい人間だと認められたことの喜び」を投稿する人々が後を絶ちません。ずっと犬派だったMattさんは、CDSが自分に適用されるとは思ってもみなかったようです。

だれかが世話していないか注意を

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ワシントンDCの動物愛護団体「Humane Rescue Alliance」代表Kate Meghjiさんは「CDS の考え方は猫と犬に対する人々の見方の違いを示していて、ほほえましい」といいます。

「人々はいろいろ努力して完璧な飼い犬を探すのに、猫については突然近くにあらわれるというのです。でも動物保護の観点からいうと、ケガもなく健康そうな野良らしき猫を見つけたら、そこに放っておくべきです。だれかが飼っているかもしれないからです。飼い猫を探しているなら、ぜひ保護施設を訪ねてください。米国の動物保護施設には毎年約 320 万匹の猫が収容され、飼い主を求めているのです」

大手動物愛護団体「全米人道協会(HSUS)」でシェルター支援課長をつとめるLindsay Hamrickさんも、保護する前に注意してほしいと語ります。

「猫が屋外にいる理由は複雑なので、保護施設に連れてくる前に近所に聞きまわってほしいですね。もしかしたら、地域猫としてだれかが世話をしているかもしれません。その際は片方の耳の先が欠けているかどうかに注意してください。こうしたいわゆる『桜耳』の猫は地域のだれかが世話をしていて、避妊手術やワクチン接種をうけていることが多いのです」と彼女はいいます。

迷子になった猫は、飼い主と再会しにくい

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さらに、「見つけた場所から猫を移動させてしまうと、飼い主に再会できる可能性は急激に減ります」とLindsayさん。

迷子になった猫が飼い主に再会できる確率は、同じ状況の犬よりもはるかに低いのが現状です。保護施設に収容された犬は25%が飼い主の元に戻るのですが、猫は3%しか戻れません。飼い主のほうも、必死に探さず「そのうち戻る」と気楽に考えてしまう傾向があると彼女はいいます。

「一方で、出会った猫がだれからも世話をされていないと確信したら、トイレ、餌、水の容器やおもちゃなどの必需品を用意して、必要な医療を受けられるように獣医の予約を取ることが大切です」とLindsayさんは話します。

ところで、猫と遭遇したMattさんは「びっくりしましたが、その価値は十分ありました。この子猫が大好きになったのです」と話しています。

Dandruffのほうも、おいしい餌やおもちゃ遊びを楽しんだり、猫トイレの砂を思いっきりかき飛ばしたりして、充実した毎日を過ごしているようですよ。CDSのおかげかどうかはわかりませんが、出会いはうまくいったようです。めでたし、めでたし。

出典:Find a stray cat? That might be the cat distribution system at work