10回、勝ち越しソロを放った佐藤輝はナインと喜び合う(撮影・田中太一)

写真拡大

 「DeNA5−6阪神」(21日、横浜スタジアム)

 阪神が延長十回に佐藤輝明内野手が15号決勝弾を放ち、逆転勝利。首位・巨人とのゲーム差を2に縮め、22日からの直接対決にはずみをつけた。

 歓喜の瞬間は延長十回だった。1死から内角低めのボールをきれいに振り抜くと、打球は右翼席上段に突き刺さった。打った直後、右手でバットを掲げる確信弾。価値ある一撃でリードを奪った。

 ヒーローインタビューでは「もう完璧な一発が出たと思います」と力を込めた。「いい風吹いていたんで、一発狙っていきました!」と明かし、「飛距離関係なく入ったんでよかったです」と喜びを噛みしめた。

 「内容は忘れたんですけど、ホームランになってよかったです」と佐藤輝。「何とか粘ってとった1勝だったんで。本当に大きい勝ちだと思います」と振り返る。

 苦しいゲームだった。0−0の三回2死三塁から大山が左前適時打を放って先制し、さらに井上が左翼席へ3号3ラン。20日・DeNA戦でプロ初の4安打を放った前川に代えて起用された6番が、価値ある追加点をたたきだして4点リードを奪った。

 しかし、投手陣が踏ん張れない。五回だった。青柳が8番・森敬と代打・林に連続二塁打を浴びて1点を失う。1死三塁で牧を迎えた場面では内野が前進守備を敷き、三ゴロに仕留めて2死までこぎつけた。

 しかし、佐野にストレートの四球を与えると、オースティンに左前適時打を許してしまう。ここで岡田監督は島本にスイッチ。だが、これが裏目に出て代打・宮崎に逆転3ランを浴びて、この回だけで一気に5点を奪われた。

 それでも打線は1点を追う八回無死満塁から牧の失策の間に同点に追いつき、救援陣が懸命に粘って佐藤輝の勝ち越し弾を呼んだ。「僕たちも誰ひとりあきらめていない」。背番号8が語った言葉に、横浜スタジアムは沸き返っていた。