その日は部屋の風呂場で事件が起きた。部屋の清掃は3人もしくは4人1組で一斉に取りかかるようだが、1部屋にかける時間の目安は10分前後だという。

「たった10分で毛1本落ちてない部屋にしなければなりません」

◆ジェットバスには大量の毛と垢

 部屋に入り、まずそれぞれが持ち場に分かれて清掃を始める。主な持ち場は、風呂、洗面所とトイレ、ベッド周りの3か所だそうだ。

「私はお風呂場を担当しました。お風呂場に入ると、いつもは真っ白なはずのバスタブが、毛、毛、毛。毛だらけの状態でした。プレイなのか、ただ単にお風呂に浸かりながら剃ったのかはわかりません。とにかく大量の毛がありました」

 しかも形状からして髪の毛ではなかったという。

「また、私が働いているラブホは全室がジェットバス仕様なんです。細かな泡が出てくる穴がたくさんついているのですが、そこから垢のようなものが出ていました。一体どんな毛むくじゃらで不潔な人が使ったんだと、したくもない想像に支配されながら必死に清掃しました」

◆「情熱的な一夜を過ごした」という清掃員へのメッセージ?

 さらに、太田さんが担当ではないベッド付近でも大変な状況が見られたという。

 枕元のちょうど上に照明やBGMなどを調整するパネルがある。そこに使用済みの避妊具が4つ、引っかけるようにきれいに並べられていたのだとか。

「これはどういう意図だったのでしょうか?」
「情熱的な一夜を過ごしたという、私たちへのメッセージでしょうか?」

 太田さんは「どうか避妊具はしばってからゴミ箱に捨ててください。バスタブで大量の毛を剃ることは控えてください」と訴えた。

<取材・文/資産もとお>

―[ラブホの珍エピソード]―