日米韓海保当局の合同訓練に参加する米国沿岸警備隊の巡視船「ウェイシー」(6月、京都・舞鶴沖で)

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 日本と米国、オーストラリア、インドの海上保安当局は2025年から、インド太平洋をパトロールする巡視船に互いの職員を同乗させる取り組みを始める方針を固めた。

 第三国の海保当局への能力向上支援などを調整する枠組みも創設する。中国が覇権主義的な動きを強める中、海洋安全保障分野での連携を進め、ルールに基づく海洋秩序を維持・強化する。

 日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」は海洋安保を主要テーマの一つとし、22年には、インド太平洋で不審船探知などの海洋状況把握(MDA)の枠組みを設置することに合意した。21日に米デラウェア州ウィルミントンで行う首脳会談でも、協力のさらなる深化を表明する。

 関係国筋によると、25年以降、毎年4か国いずれかの海保当局船がインド太平洋を巡視し、残る3か国の職員が同乗する。漁船への立ち入り検査を始めとする法執行活動に立ち会うほか、船上訓練にも参加する。互いの業務手法を確認し、意見を交換することで、相互運用性の向上や知見の共有を図り、クアッドの連携も内外に示す。

 まずは来年、米国沿岸警備隊の巡視船に、海上保安庁、豪州国境警備隊、インド沿岸警備隊の職員が乗り組む。海保は26年度に就役する予定の「国際業務対応船(ヘリコプター搭載型巡視船)」の活用も想定する。

 さらに、東南・南アジア諸国や太平洋島嶼(とうしょ)国との「インド太平洋 海洋トレーニング・イニシアチブ」も新設する。各国に対して日米豪印がそれぞれ実施している違法漁業監視や海難救助などの訓練について、重複を避けるため相互に調整し、実効性を高める。略称はサンスクリット語で友情を意味する「MAITRI(マイトリー)」とする方向で調整している。