モントリオール五輪で獲得した金メダルを手にして勝利の味をかみしめるバレーボール女子日本代表の選手たち。後列右から3人目が横山樹理

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 18日に訃報が伝えられたバレーボール女子の1976年モントリオール五輪金メダリスト、荒木田裕子さん(享年70)について、女子日本代表でチームメートだった西川(旧姓横山)樹理さん(69)が「ユウさんの優しい声を聞けないのは寂しいです。日本バレーボール協会やJOC(日本オリンピック委員会)の要職にも就かれて、ご多忙の日々だったと伺っています。今はただ、心からご冥福をお祈りします」と悼んだ。

 西川さんが1学年上だった荒木田さんの存在を知ったのは、博多女子商高(現博多女子高)時代だったという。「春高バレーに出た時、秋田の角館南高(現角館高)にすごく器用な選手がいたんです。それがユウさんでした」。印象に残ったオールマイティーな姿は日本代表時代も変わらなかった。「私は不器用で…レフト一辺倒のプレーヤーでした。レフトやライト、それにレシーバーも何でもできるユウさんはすごいなと思っていました」。懐かしむように振り返った。

 モントリオール五輪後に、白井貴子さんからエースの座を引き継いだ西川さんは「ジュリ・スマイル」と呼ばれた笑顔と豪快なスパイクで日本中を魅了した。現在は福岡県でライフワークでもあるソフトバレーボールの普及活動に携わる一方、友人が営む果樹園でブドウ作りにもいそしんでいる。「金メダルは頑張った証し。ユウさんと同じ時代を生き、同じメダルを手にできたことに感謝して、これからも日々を大切に、精いっぱい過ごしたいと思います」。来年3月で70歳を迎える西川さんは静かに手を合わせた。(西口憲一)