三笘薫、久保建英...欧州サッカー日本人選手の活躍が毎週楽しみ! 注目5クラブの最新布陣と戦い方
2024−25シーズンの欧州サッカー各国リーグがスタート。日本人選手の活躍もあり、毎週の試合が楽しみだ。ここではそんな日本人選手所属クラブのなかで今季注目の5チームの戦いぶりを最新フォーメーションとともに紹介する。
リバプール(イングランド)
【4−2−1−3】
FW/ディアス(ガクポ)、ジョタ(ヌニェス)、サラー(キエーザ)
MF/ソボスライ(エリオット)
MF/マック・アリスター(ジョーンズ)、フラーフェンベルフ(遠藤)
DF/ロバートソン(ツィミカス)、ファン・ダイク(ゴメス)、コナテ(クアンサー)、アレクサンダー=アーノルド(ブラッドリー)
GK/アリソン(ケレハー)
9シーズンにわたってチームを率い、プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、FAカップ、リーグカップ、クラブW杯とあらゆるタイトルをもたらしてきたユルゲン・クロップ監督がついに退任。あまりにも大きな存在だった前指揮官の喪失を強烈に感じるかとも思われたが、後任のアルネ・スロット監督が早くも見事な手綱捌きを見せ、リーグ開幕から3連勝を遂げている。
このオランダ人新監督は、前指揮官が築いたチームの根幹はそのままに、ハイプレスとポゼッションをスムーズに機能させている。中盤では同胞のライアン・フラーフェンベルフと、世界と南米を制したアルゼンチン代表でも中核を担うアレクシス・マック・アリスターを重用しており、MF遠藤航の出番はここまでわずかに1分のみと、日本代表主将にとっては厳しい序盤戦に。
新たな即戦力と呼べるのはFWフェデリコ・キエーザ(ユベントスから)くらいだが、3年前にイタリア代表の欧州制覇に貢献した頃の調子を取り戻せば、すでに豪華な前線でもアクセントになるはずだ。
ブライトン(イングランド)
【4−2−3−1】
FW/ウェルベック(ファーガソン)(ルター)
MF/三笘(アディングラ)、ジョアン・ペドロ(エンシーソ)、ミンテ(マーチ)
MF/バレバ(ウィーファー)、アヤリ(ミルナー)(オライリー)
DF/ヒンシェルウッド(エストゥピニャン)(カドゥオール)、ダンク(イゴール)、ファン・ヘッケ(ウェブスター)、ランプティ(フェルトマン)
GK/フェルブルッヘン(スティール)
プレミアリーグに昇格して8シーズン目を迎えるブライトンが、成熟を感じさせるオフを過ごした。これまでは中小クラブの宿命として、活躍した主力選手をビッグクラブに引き抜かれてきたが、一昨季にリーグトップの利益を計上し、今オフは昨季の主軸をほぼ放出しなかった。
そのクラスで手放したのはMFパスカル・グロス(ドルトムントへ)とMFビリー・ギルモア(ナポリへ)くらいで、彼らが抜けた中盤はマッツ・ウィーファー(フェイエノールトから)とマット・オライリー(セルティックから)で補填しつつ、ともに20歳のカルロス・バレバとヤシン・アヤリの成長にも期待できる。利他的なFWジョルジニオ・ルター(リーズから)、右ウイングの一番手ヤンクバ・ミンテ(ニューカッスルから)、EURO2024で名をあげたサイドバック、フェルディ・カドゥオール(フェネルバフチェから)ら、複数の即戦力も獲得し、2シーズンぶりの欧州カップ戦の出場権を狙う。
昨季後半戦を負傷で棒に振った三笘薫は例年どおり、左ウイングのレギュラーを張る。「昨季は彼の不在を痛切に感じた」とFWダニー・ウェルベックが言ったように、この27歳のアタッカーの状態がチームの不沈の鍵を握る要素のひとつになりそうだ。
クリスタル・パレス(イングランド)
【3−4−2−1】
FW/マテタ(エンケティア)
MF/エゼ、鎌田(サール)
MFミッチェル(シュラップ)、ヒューズ(ドゥクレ)、ウォートン(レルマ)、ムニョス(ウォード)
DF/リチャーズ(リアド)、グエイ(チャロバー)、クライン(ラクロワ)
GK/ヘンダーソン(ターナー)
今年2月にオリバー・グラスナー監督が招聘されると、チームは調子を上向かせ、昨季最後の7試合を6勝1分の負けなしで乗りきり、10位でリーグ戦を終えた。
殊勲のオーストリア人指揮官は、オフにフランクフルトでともに働いた鎌田大地をラツィオから獲得。バイエルンへ去ったマイケル・オリーセの代役と、監督の戦術を円滑にすること──28歳の日本代表にはふたつの重積が託された。
相手の研究が進んでいるからか、今季はリーグ戦3節を終えて1分2敗と勝ち星がなく、鎌田もまだ完全にフィットしていないように見える。ただしノリッチとのリーグカップでは1得点1アシストを記録し、4−0の快勝に貢献した。
移籍期間最終日にFWエディ・エンケティア(アーセナルから)、DFマクサンス・ラクロワ(ヴォルフスブルクから)、DFトレボ・チャロバー(チェルシーからローン)といった即戦力を迎え、攻守の陣容が整った。リーグ初勝利もそう遠くないはずだ。
レアル・ソシエダ(スペイン)
【4−1−2−3】
FW/ベッカー(バレネチェア)、オヤルサバル(サディク)(オスカールソン)、久保
MF/セルヒオ・ゴメス(マリン)、トゥリエンテス(ブライス・メンデス)(スチッチ)
MF/スビメンディ(オラサガスティ)
DF/ハビ・ロペス(ムニョス)、パチェコ(マルティン)、スベルディア(エルストンド)(アゲルド)、アランブル(オドリオソラ)
GK/レミロ(マレロ)
EURO2024でスペインの優勝に貢献したMFミケル・メリーノとセンターバック(CB)ロビン・ル・ノルマンが、それぞれアーセナルとアトレティコ・マドリードへステップアップ。中盤と最終ラインの主軸が揃って抜けたチームは、MFルカ・スチッチ(ザルツブルクから)とCBナイフ・アゲルド(ウェストハムから)で補填したが、ラ・リーガの4試合で1勝1分2敗と苦しんでいる。
久保建英はここまで唯一先発を外れた第2節エスパニョール戦で、途中出場から独力でゴールを奪取。以降はスタメンに選ばれ続けているが、マンチェスター・シティからセルヒオ・ゴメスが加入したことで、定位置争いは激しくなった。
移籍期間最終日にコペンハーゲンから獲得した20歳のFWオーリ・オスカールソンは、前線の起点となれる本格派ストライカーだが、今季もヨーロッパリーグに参戦することを踏まえると、選手層はやや心許ないか。
バイエルン(ドイツ)
【4−2−3−1】
FW/ケイン
MF/テル(コマン)、ムシアラ(ミュラー)、ニャブリ(オリーセ)(サネ)
MF/パブロビッチ(パリーニャ)、キミッヒ(ライマー)
DF/デイビス(ゲレイロ)、ウパメカノ(ゴレツカ)(伊藤)、キム・ミンジェ(ダイアー)、ボエ(スタニシッチ)
GK/ノイアー(ウルライヒ)
昨季はブンデスリーガの12連覇を果たせなかったばかりか、13年ぶりに3位にもなり、ほかの大会でも精彩を欠いてタイトルはゼロ。ドイツの盟主は不甲斐ないシーズンから立ち直るべく、ヴァンサン・コンパニ新監督に再建を託した。
現在38歳のベルギー人指揮官は昨季のプレミアリーグで降格の憂き目に遭ったが、ポゼッションとハイプレスの現代的な戦術を浸透させる手腕の持ち主だ。手持ちの戦力のレベルが上がれば、破壊力のあるチームを作るポテンシャルはある。おそらくクラブ上層部も、そう考えたのではないか。
マイケル・オリーセ(クリスタル・パレスから)、パリーニャ(フラムから)、伊藤洋輝(シュツットガルトから)らを迎え、マタイス・デ・リフトとヌサイル・マズラウィ(ともにマンチェスター・ユナイテッドへ)などを手放したスカッドは、戦力値が高まったと見ていいはず。
昨季、タイトルを手にするために入団した無冠のエースストライカー、ハリー・ケイン。今季こそ、自身初の栄冠を獲得できるだろうか。