『相棒』ファンに衝撃を与えた問題作 “便器”に殺された?まさかの殺害方法にあ然!
2000年のシリーズ誕生以来、濃密で骨太なミステリーの数々を世に送り出し、“国民的ドラマ”の地位を揺るぎないものにした『相棒』。
杉下右京(水谷豊)×亀山薫(寺脇康文)の“黄金コンビ”が復活して3シーズン目となる『相棒season 23』は、10月から放送開始される。
テレ朝POSTでは新シーズンのスタートを記念し、『相棒』の多彩なストーリーにスポットを当て、オススメのエピソードを紹介していく。
第1回目は、右京と薫の“初代相棒”時代に放送された『相棒season5』第13話「Wの悲喜劇」(2007年1月17日放送)を取り上げる。
◆太った妻が便器にハマって餓死
「Wの悲喜劇」は、衝撃の殺人トリックで放送時に大きな話題を呼んだ異色作だ。
右京、たまき(高樹沙耶)、角田(山西惇)が、美和子(鈴木砂羽)の新作料理発表会のため、薫のマンションに集まっていた夜のこと。
隣室に住む欣司(野村宏伸)の妻・麗子(城島あこ)が、トイレで変死体となって発見される。
太っていた麗子は、トイレに座った拍子に便座を壊し、便器にすっぽりとハマってしまった模様。夫・欣司が海外出張中のため、誰にも助けてもらえず、そのまま餓死したらしい。
なんとも不幸な事故に見えたが、右京は帰国したばかりの欣司の行動に不審を抱き、事件を調べ始める。
すると、麗子がかつて見違えるように痩せていたことが明らかになる。
昔の写真を眺めながら、「こんな時代もあったんです」と意味ありげにつぶやく欣司。別人のように変わってしまった妻に対して、何やら思うところがあるようだ。
もし欣司がわざと便器にヒビを入れていたら…。次元装置のように自分の海外出張中に便器が壊れるよう仕組んでいたら…。
妻殺しの容疑が深まるなか、右京の追及で驚きの真相が明らかになっていく。
◆喜劇のようであり悲劇でもある
『相棒』のストーリーといえば、緻密に計算されたミステリーや重厚な人間ドラマが思い浮かばれるが、本作は遊び心とユーモアあふれる、まさに笑える『相棒』。
「トイレで餓死」「凶器は便器」「太った妻に制裁」…キーワードだけ見ても普通の刑事ドラマとは一味も二味も違う。
また、本作は美和子の創作料理「美和子スペシャル」が初登場した記念すべき回でもある。
「美和子スペシャル」は、美和子の衝撃的な料理の腕前を表す『相棒』名物のひとつ。本作では謎を解くキーとして初披露され、捜査一課トリオら『相棒』オールスターたちが食卓を囲むシュールなシーンも用意されている。
そんなユーモアあふれる本作だが、もちろん笑えるだけでは終わらない。
右京から妻の殺害を追求された欣司は、「僕は妻を愛していました」と断言。「たとえ容姿が変わったって、僕の愛は変わらない」と訴える。
その言葉は真実で、彼女が殺された理由は意外なところにあった。そして物語は、犯人の切ない独白で終わる。
「Wの悲喜劇」という副題の通り、喜劇のようであり悲劇でもある異色のエピソード。新シーズンがはじまる前にぜひ見直してみては?