【リアル地面師たち】「積水ハウス事件」の首謀者が明かした“詐欺の台本”「法務局のサーバーに侵入」「最難関はニセの権利書」
『地面師たち』でハリソン山中を演じる豊川悦司
7月25日から配信されたNetflixのドラマ『地面師たち』が話題を呼んでいる。8月28日現在、日本では5週連続トップを独走、世界ランキングもトップ10入りを続けている。
地面師とは、不動産の所有者になりすまし、不動産を購入したい買い手から多額の売買代金をだまし取る詐欺師のこと。本物の所有者が現れるころには姿を消し、また次のターゲットとなる不動産を探して詐欺を繰り返す集団だ。ターゲットとなる不動産を探す者や、権利書や免許、印鑑証明などを偽造する者、弁護士役、地主役、それらをすべて統括する者などで役割分担をし、グループで詐欺を実行する。
ドラマは、2017年に実際に起こった「積水ハウス地面師詐欺事件」がモデルとされる。住宅メーカーの積水ハウスが、品川区の五反田駅にほど近い場所にあった旅館「海喜館」の土地約600坪を購入する契約を結び、約55億円を騙し取られた事件だ。主犯の内田マイク受刑者は、事件を主導していたとして懲役12年の実刑判決を受けている。『地面師たち』のドラマで豊川悦司が演じるチームのリーダー「ハリソン山中」のモデルが、内田受刑者だといわれている。
じつは逮捕前、FLASHは内田受刑者との接触を試みていた。取材に渋々応じた内田受刑者と待ち合わせた場所は、新橋駅前にある駅ビル3階の喫茶店。日焼けした顔が、リッチな中年イケメン風だった内田受刑者。彼は、このビル内に密かに事務所を構えて拠点にしていた。
当時内田受刑者は、地面師詐欺の“台本”を、このように明かしていた。
「まずは権利書の偽造だ。ニセの権利書を作ることがいちばん難しい。昔は法務局に行って、手書きの登記簿謄本をこっそりと抜き取ってしまえばよかった。
コンピュータ化された今は、法務局のサーバーに侵入する。本物の権利書を作るには、当時の法務局のハンコを知らないと作れない。権利書の紙も時代によって違うから、古い紙が必要。それらを用意できる人間がいるので、依頼する。表紙も必要だ」
「あくまで一般論だが」として、内田受刑者が続けた。
「権利書ができたら、物件ごとにグループを作るんだよ。ニセの地主役のおばちゃんや、ニセの弁護士役や司法書士役など、いろいろ手配する人間がいるから、そこに依頼して地主役を決める。地主役が決まれば、身分証明になるものを作る。偽造パスポートなんてすぐに作れる。印鑑証明、納税証明書、運転免許証だって簡単だ。グループの結束はそんなに固くない。外された人物が裏切ってマスコミにリークする場合もある」
ちなみに事件で逮捕された地主役の中年女性は、「私の分け前が少ない」とかなり怒っていたという。実際にドラマでも、分け前についてチーム内で喧嘩が起こる場面がある。ここまで再現されていたとは……。細部の作りこみに舌を巻くシリーズである。