Image: Robert Shepherd

キノコ好きです。美味しいです。ヘルシーなイメージも強いので、とりあえずお鍋にキノコをたくさんいれときゃOKという謎の安心感があります。が、まさかそのキノコがロボットと一体化するなんて。

カーネル大学研究チームが、ロボットを操作する術としてキノコに目をつけました。そう、時代はバイオハイブリッド!

生物+機械

バイオハイブリッドとは、生き物と機械を組み合わせた仕組みのこと。たとえば、生物(細胞)のもつ治癒能力を使いマシンが自己補修をしたり、カエルの筋組織を用いてロボットが泳いだり、ミミズの組織でチップのマイクロポンプを動かしたり…。

注目されている理由は、効率、頑丈さ、能力、そのすべてにおいて、メカよりも生物の方が優れているから。なんとか生物の強みを機械に組み込めないだろうかという思いが実現されたのがバイオハイブリッドです。ただ、難しいのはメカに組み込んだ細胞が生き続けるために、抗生物質の注入や無菌環境の維持などが必要だということ。

バイオハイブリッドの対象には動物だけでなく植物や菌も含まれますが、その中でカーネル大学研究チームが目をつけたのがキノコ。理由はあらゆる環境での生命力に長けているからです。

キノコロボ

チームが選んだキノコはエリンギ。日常的に食べるあのエリンギです。

3Dプリントで制作された土台で、エリンギの菌糸構造のような根っこを培養しました。この台、下部に電極が仕込まれており、菌糸が成長するにつれその電極と融合していく仕組み。その台をヒトデのような形の5本脚のロボットに装着し完成したのがトップ画像のロボットです。

紫外線にさらされると、菌糸が電気信号を生成。研究では、紫外線ライトをキノコ(菌糸)に当てると、その度に電気信号が生まれ、それが電極を刺激。結果、脚が伸びロボットが立ち上がることができました。

他にも、4輪のスケートボードのようなロボとキノコをくっつけたテストでも、ロボットのホイールが動き前進に成功。

ロボキノコは数ヶ月にわたり反応をみせ、研究は大成功に終わりました。予想以上に素晴らしい結果から、将来的な実用利用について、すでに検討を始めているといいます。

実用前にクリアすべき問題

大成功とはいえ、実用化するには問題があります。バイオハイブリッドならでは、つまり生物ならではの問題です。それは、キノコの力(電気信号)が時がたつにつれて弱くなること。そして、バイオハイブリッドとなっても生物の宿命からは逃れられないこと。つまり、いつかは死んでしまうこと。

これをクリアするには、電気信号を増幅させる仕組みや、弱体化していくキノコを再生する技術が必要になります。

研究論文はScience Roboticsに公開されています。

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