30代でFIREを達成したのに「幸せになれなかった理由」。経験者が語る“セミリタイアの落とし穴”

写真拡大

 皆さん、こんにちは。メンタルトレーナーの三凛さとしです。私は20代の頃、借金苦と人生の挫折からメンタルトレーニングの重要性を学びました。その後、不動産ビジネスで成功し、30代で一度FIREを達成。その体験などをもとに「人生を好転させるヒント」をSNSで発信しています。
 日刊SPA!では「ストレスなく生きていくための方法」をお伝えできればと思っております。連載第2回となる今回は「30代でFIREを達成しても幸せになれない理由」について、お話していきます。

◆なぜ、多くの人はセミリタイアしても幸せになれないのか

 昨今、「セミリタイアして悠々自適な生活をしたい」「仕事をしてお金を稼がなくても不安のない人生を送りたい」と思う人は年々増えているように思います。現時点でも、セミリタイアやFIREという夢に向かって、一生懸命努力している方も多いかもしれません。

 ただ、冒頭から夢のない話で本当に申し訳ないのですが、はっきり言わせてください。残念なことに、若いうちにセミリタイアをしても、多くの人は幸せにはなれません。

 なぜ、多くの人が憧れるセミリタイアを実現しても、幸せになれないのか。今回は、30代でセミリタイアを果たしたものの、数か月で仕事に復帰した私の実体験を通じて、その理由を解説させていただきます。

◆25歳で退職し「セミリタイア」を志す

 私がセミリタイアを考えるようになったのは、25歳ぐらいの頃です。新卒で入った会社で将来に希望が持てなかった私は、入社3年目で退職し、「アメリカでファッションデザイナーになる!」という壮大な夢を描いて、NYへと渡りました。

 しかし、無計画にもアメリカに乗り込んだ先に待っていたのは、とてつもない極貧生活でした。ドブネズミが走る縦1.5メートル横幅1メートルほどの小さな木箱の中に住みながら、バーテンダーとして働いて日銭を稼ぐ日々は、今思い出しても本当にキツかったです……。

 さすがのド底辺生活に危機感を抱き、「仕事やお金に囚われず、経済的に自立したい。セミリタイア生活をめざそう!」と一念発起。3年間必死で試行錯誤した末、寝ていても遊んでいても収益が上がるようなビジネスの仕組みを構築することに成功します。そこから年間1億円ほどの利益が入るような状況になり、いよいよ私は念願のセミリタイア人生をスタートさせたのです。

◆まったく楽しくなかったセミリタイア人生

 憧れのセミリタイア生活は、最初はとても気ままで楽しいものでした。好きなときに好きな場所に行ける。もともと海外生活が好きだった自分にとっては、理想的な生活でした。

 しかし、数か月ほどすると、徐々に異変が現れ始めます。

 何をしても、楽しくない。毎日、生きている実感が得られない……。

 気が付くと、あれほどまでに憧れていたセミリタイア生活よりも、「セミリタイアしたい」と頑張っていた日々の方が懐かしさを感じてしまうようになりました。その時点で、セミリタイア生活がほとほと嫌になっていたのだと思います。

 当時の私は、毎日のように「自分は何をしたらいいのか」と考えながら、ただフラフラと海外に行って、一見楽しそうに見える写真を撮影しては、SNSに投稿するだけの日々を続けていました。

◆目標を失ったことで人生が不幸に…

 夢のセミリタイアを実現できたのに、どうしてこんなに楽しめないのか。悩み続けた結果、その理由は、自分自身が「セミリタイアをする」という大きな目標を失ったからだと気が付いたのです。経済的な自由は得たものの、目標がなくなったことで、毎日なにを目指して生きればよいのかわからなくなっていたのでしょう。

 実際、私と同じようにセミリタイアを達成した人に会ってみても、一時は満足しても、人生の目的を見失い、以前よりも表情が暗くなった人ばかり。いまだに「セミリタイアしたいまが、人生で一番幸せ!」と笑顔で答える人には、ほぼ出会ったことがありません。