――それはなぜですか? 結婚、恋愛の問題ですかね。

叶芽:たしかに当時付き合っていた人と「結婚したいな」とは思っていましたし、彼の親からタトゥーやピアスのことを、いろいろと言われたのもありますね。実は彼から頼まれて、指のタトゥーだけ1回消しているんです。でも残りのタトゥーは消すのも難しかったので、隠して生きていこうと。まだ今よりタトゥー自体は全然少なかったんですけどね。

――今はもう、消すのも大変でしょうね。

叶芽:消そうとしたら何百万円、大きいのだと皮膚移植で消す、みたいな感じですから、大変だと思います。でも指のタトゥーは小さかったので、彼に「消してほしい」って言われた、次の日くらいにはレーザーで消したんですよ。でも結局、結婚はしなかったですね。

◆タトゥーの入った元女王様のセクシー女優

――そのあとに今の世界へ飛び込んだわけですね。ご自分で応募したんですか?

叶芽:応募と言うか、先に友達が事務所に入っていたので、私もやってみたいと思って。それで友達に紹介してもらった感じですね。

――タトゥーについて、事務所からなにか言われませんでした?

叶芽:事務所からは「タトゥーがあるからダメ」みたいなことは、まったく言われていませんね。でも「メーカーさんはタトゥーを嫌がることもあるから、デメリットはあるよ」とは言われました。でもそれも承知で、とりあえずメーカーさんの面接回りに行ってみて、デビュー作が決まったんです。

◆背中の羽根とお腹にあるタトゥーがお気に入り

――改めて、タトゥーについて聞かせてください。気に入っているタトゥーはどれですか?

叶芽:気に入っているのは、背中の羽根とお腹のタトゥーですね。

――背中の羽根のタトゥーは、とくにキレイですよね。そのくらいになると、入れる時間も長かったんじゃないですか?

叶芽:羽根は完成まで2か月くらいですかね。毎日入れるわけじゃないので、傷が治る期間なども含めて、ですけど。ひたすら保湿して、かさぶたができて、安定してようやく完成って感じです。かさぶたになる時期にはかゆみも出てくるんで、かゆみとの戦いがツラいんです(笑)。

――聞いているだけでムズムズしてきました(笑)。ずっと気になっていたんですが、タトゥーって痛くないんですか?

叶芽:場所によりますね。私はあばら骨、横腹の部分が「骨に直接響く痛み」って感じでツラかったです。横腹なんで、くすぐられる感じもあって「痛くすぐったい」のに耐えていました。平気な部分は、途中で携帯をいじるくらいの余裕があるんですけど(笑)。

◆タトゥーを入れて後悔したことも…

――タトゥーは、そういう苦労を乗り越えて完成させるから、できあがると余計にうれしいのかもしれませんね。

叶芽:そうですね。なによりタトゥーが完成すると、満足感がすごいんですよ。この満足感があるからハマっちゃって、どんどんタトゥーが増えていっちゃうんです。ひとつ完成したら、もう「次はどこに入れようかな」って考えちゃうくらいですから。

――でも実際に、最近はタトゥーを入れている人が増えてきたと思いますね。

叶芽:はい、私が入れ始めた頃よりは、増えてきていると感じます。周りがタトゥーに関して寛容になってきたというか、一方的にタトゥーを否定する人が減ってきたんじゃないかと。以前はタトゥーを見ると頭ごなしに否定する人も多くて。若かったからそんな意見に反発もしつつ、やっぱり否定的な意見を聞くと落ち込んじゃったこともありました。

――タトゥーを入れたことを後悔したことも?

叶芽:1回はありますね、「なんで入れちゃったんだろう」って思ったときが。でも「タトゥーが入っていても私だし、むしろタトゥーがあるから私だしな」って思えるようになりました。

<取材・文/蒼樹リュウスケ 撮影/星亘>

【叶芽遥希】
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【蒼樹リュウスケ】
大学在学中に成人誌出版社で編集のアルバイトを始め、そのままアダルト業界に定住。大手AVメーカーの雑誌編集部を経て、フリーライターとして独立。好きなことを書きたいと思った結果、アダルトならなんでもありな文章を書きまくる生活を送っている