本編最後は、「錆つかない剣を持て!」。11thシングルに収録されたひなた坂46の楽曲で、彼女たちの新しい門出を応援するような一曲だ。センターを務める高橋未来虹が、模造刀を使って高度な殺陣を披露したのに続き、中華風の衣装に身を包んだメンバーたちが本気のパフォーマンスを披露した。サビでは、メンバーの歌唱に合わせて「Hey!」という大コールが起きていた。

ここで本編が終了。「ひらがな!」という声の混じるアンコールを受け、ステージに登場したのは、ペールピンクのドレスに身を包んだ高本彩花だった。ここから、高本の卒業セレモニーが始まる。高本は、用意してきた手紙を読み上げた。

「8年間、本当にありがとうございました。2016年の5月8日に、けやき坂46のオーディションに合格して、今日まで、本当に幸せでした。あの日から、人生が180度変わりました。普通に生きてきた、進路に迷う高校3年生だった私が、突然アイドルという憧れていた存在になることができました。

振り返ってみると、はじめは欅坂46さんの背中を追いかけていました。偉大な先輩たちの背中は本当に大きくて、かっこよくて、その背中を見ていられることが、当時の私は、嬉しくてたまりませんでした。同じグループで活動できたことが、本当に幸せに思います。

けやき坂46で過ごした時間も、私は本当に大切で、何よりも大切にしています。今この瞬間、思い出すのは、「走り出す瞬間」ツアーです(※注 「走り出す瞬間」は2018年にリリースされたけやき坂46の1stアルバム)。本の世界から登場するメンバーがかわいくて、初めての自分たちのアルバムの楽曲だけでライブができたことが本当に嬉しくて、ユニット曲のリハーサルを客席で見ていたのを今でも覚えています。いろいろあり、アルバムが発売する前のツアーで、知らない曲のはずなのに、公演を重ねるごとに、ペンライトの色が揃ったり、コールが聴こえてくる。ファンのみなさんと一緒に作り上げたツアーだったと思います。

そんな思い出深いツアーをしたこのパシフィコ横浜で、卒業セレモニーをさせていただけることが、本当に幸せに思います。私にとって、日向坂46は、温かくて、優しくて、居心地の良い、大好きな場所でした。大好きなメンバーと一緒に目標に向かって、心を一つに、切磋琢磨して活動する時間が、本当に幸せで、かけがえのない思い出でいっぱいです。中途半端で何事も長続きせずにずっと生きていた私ですが、けやき坂46と日向坂46は、初めて真剣にやり遂げたいと思ったことだったかもしれません。

8年間のすべての出逢いが私に大きな力をくれました。メンバー、支えてくださるスタッフの皆さん、そして、私を好きと言って応援してくださるファンのみなさんに出会えたこと。この世界には、たくさんの人がいます。そんな中から、私を見つけて、応援してくれて、たくさんの温かい言葉と、最高の景色を見せてくださり、本当にありがとうございました。はじめの頃は、アイドルと自信をもって言えないくらい、ネガティブで自信のなかった私ですが、これまでの経験と、ファンのみなさんの支えが、自信を与えてくれましたし、何事も前向きに考えられるようになりました。そして、たくさんの夢もかなえることができました。

憧れだったアイドルになれて、自分の考え方や、人格が、アイドルになる前の私よりも好きになれたことは、人生の財産です。これから私は日向坂46を卒業し、新たな道へ進んでいきます。きっと、険しい道のりもあると思います。これまでの経験を活かして、新たなことにチャレンジしていきたいと思っています。どうか温かく見守っていただけると、うれしいです。