韓国代表、もはや正常な監督選びは不可能?協会内の軋轢、空中分解の戦力強化委…“黒い手”疑惑も

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韓国サッカー協会の内部に、個人の利益のために行動した人間がいるのであれば、別のオプションを探さなければならない」

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未だ空席状態のサッカー韓国代表監督。その最有力候補に挙がっていた蔚山(ウルサン)HD FC率いるホン・ミョンボ監督は6月30日、リーグ戦前に行われた記者会見で決心したようにそう語った。

2018年に韓国サッカー協会(KFA)がパウロ・ベント元監督(現UAE代表監督)を選任した際、専務理事を務めていたホン・ミョンボ監督は、当時、国家代表選任委員会で委員長を務めたキム・パンゴン氏(現マレーシア代表監督)を戦力強化委員長だったキム·パンゴン現マレーシア代表チーム監督をサポートしたことを例に挙げて話した。

そして、「(当時の)キム・パンゴン委員長は責任と権限をすべて持っていた。本人(委員長)が“この人は韓国サッカーに合う”と思ったら、国籍を問わずその人を選んだ。それがパウロ・ベント氏だった」と説明した。

これは、チョン・ヘソン委員長の自主的辞任によって、新監督選任のために設けられた国家代表戦力強化委員会を事実上の“無用の長物”にしたKFAを公に批判する発言だ。

このままでは、例えどんな監督を選んだとしても信頼を得られることはないだろう。ただ、その状況を作り出したのもまたKFAだ。

(写真提供=韓国サッカー協会)国家代表戦力強化委員会

チョン・ヘソン委員長はこの4カ月間、自身が構成した戦力強化委員会の委員たちと膝を突き合わせ、10回の会議を経て最終候補群を整理し、最近、KFAのチョン・モンギュ会長に報告した。

ところが、この過程で不協和音が発生したと伝えられた。

そもそも、代表監督を選任する機構である戦力強化委員会に「実質的な力がない」という見解は多かったが、チョン・ヘソン委員長は“不純な黒い手”が存在すると考え、直ちに職責を放棄した。現在までいかなる連絡も受けていない状況だ。

戦力強化委員会は事実上の“空中分解”

これを裏付ける事実が、チョン・ヘソン委員長辞任後のKFA内部の動きだ。

チョン・ヘソン委員長は口頭で辞任の意思を明らかにした。正常な組織であれば、幹部クラスの関係者がチョン・ヘソン委員長に直接会い、事情を聞く必要があるはずだ。

ただ、KFAではチョン・ヘソン委員長の後釜として、すぐに技術発展委員長兼技術総括理事のイ・イムセン氏に監督選任作業の指揮を託した。

これに、既存の戦力強化委員会だった多数のメンバーが強く反発した。6月30日にイ・イムセン委員長が主宰したオンライン会議にも、ほとんどが参加しなかった。

チョン・ヘソン委員長体制の第1回会議から着実に出席してきたというとある委員は、本紙『スポーツソウル』に「こんなことなら、KFAで希望する候補を選んで直接選べばいい。我々を脇役に立たせ、それでいて後で責任を負わせようと考えている。であれば、これ以上出席するつもりはない」と強い口調で語った。

結局、新監督候補のリストは、以前の戦力強化委員会が構成した最終候補の優先順位と異なる内容でまとめられた。

イ・イムセン委員長は2日にも韓国を出国し、候補に含まれた外国人監督と会う予定だ。

(写真提供=韓国サッカー協会)イ・イムセン委員長

自然と、ホン・ミョンボ監督が言及した「協会内部に存在する自分の利益のためだけに行動した人間」にも注目が集まっている。そして、この発言は現在オーストラリア代表を率いるグラハム・アーノルド監督にも繋がる。

アーノルド監督は、元韓国代表監督のフース・ヒディンク氏が2005〜2006年にオーストラリア代表指揮官を務めた時、アシスタントコーチを務めた人物だ。何より、同じエージェンシーに属している。

ヒディンク氏は数カ月前に韓国を訪問しているが、そこで彼がKFAにアーノルド監督を推薦したことはサッカー界の多くの人々が知っている。KFA内部にも“アーノルド支持派”がいるという話がある。

ただ、チョン・ヘソン委員長体制の戦力強化委員会では、アーノルド監督は最終的に高い評価を受けられなかったという。

そもそも、オーストラリアは韓国などと同じく北中米W杯アジア最終予選進出を果たした国だ。

韓国とは別組で、日本やサウジアラビアと同じグループCに入ったとはいえ、最終予選を控えて「アジア内のライバル国の監督を選ぶことは正しいのか」という声も出ている。

また、戦力強化委員会はチョン・ヘソン委員長の辞任によって、複数の委員も不参加の意思を明らかにするなど、事実上の“空中分解”状態だ。そんな状況で監督選任を強行するようであれば、KFAをめぐる疑惑がより多く増幅する恐れがある。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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