新横浜ラーメン博物館に期待の新店、福岡「博多一双」が2024年6月24日にオープン。どんぶり一面に脂泡が浮かぶ「豚骨カプチーノ」が特徴で、博多ラーメンに旋風を巻き起こしています。

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新横浜ラーメン博物館(以下、ラー博)に期待の新店、福岡「博多一双」が2024年6月24日にオープン。どんぶり一面に脂泡が浮かぶ「豚骨カプチーノ」が特徴で、博多ラーメンに旋風を巻き起こしています(画像は全て提供)。

【画像】「豚骨カプチーノ」と呼ばれる博多一双のラーメン

ラー博が「ご当地・博多ラーメン」にこだわる理由

ラー博は、これまで福岡のラーメンの歴史でエポックメイキングとなった店を誘致してきました。今回の「博多一双」の出店で福岡のラーメン店としては7店舗目となります。

福岡は言わずと知れた豚骨ラーメン発祥の地ですが、近年は淡麗しょうゆやつけ麺など、非豚骨系に注目が集まっています。しかし、日本の素晴らしい食文化である「ご当地ラーメン」の紹介を使命とするラー博は、博多ラーメンのこれからを担う店として「博多一双」に白羽の矢を立てました。

というのも、「ふくちゃんラーメン」や「一風堂」といった、これまで博多ラーメンの歴史を作ってきた先人と同じく、「博多一双」をとんこつラーメンという土壌で新たな道を切り開く店だと、ラー博は位置付けているからです。

「博多一双」の創業までの道のり

「博多一双」の創業者は山田晶仁(まさひと・兄)さんと山田章仁(あきひと・弟)さんの山田兄弟。屋号の「一双」には、「二人で一つ」「二人で日本一になろう」という思いが込められています。

晶仁さんは「テレビのラーメン特集で、ラーメン店は気合と根性があれば必ず成功する、という言葉に触発され、”俺でもできるっちゃない?”と思い、ラーメン界に入る事を決意しました」と振り返ります。

晶仁さんは18歳の時、福岡じゅうのラーメン店を食べ歩き、自分がおいしいと思ったラーメン店で修業を始めます。章仁さんも、高校1年生の時に同じ店にアルバイトとして入り、高校卒業後すぐに社員として働きました。晶仁さんは7年半、章仁さんは5年間の修行の末、2012年11月に「博多一双」本店を開業。兄25歳、弟21歳のことでした。

その後、2014年5月には中洲店、2016年9月には祇園店をオープンし、現在、福岡県内で3店舗を運営しています。

福岡県外への出店は考えていなかった山田兄弟ですが、「関東圏だけでなく、ラー博には海外からの来場者も多く、博多ラーメンを世界中に知らしめるチャンス」と何度も説得し、ついに出店が決定。「ラー博で『とんこつラーメンといえば博多一双』と言ってもらえるようにがんばりたい」と、コメントしています。

博多っ子を魅了する「豚骨カプチーノ」とは

「博多一双」の代名詞となっている「豚骨カプチーノ」とは、どんぶり一面に浮かぶ泡(脂泡)を表現したもの。お客さんがSNSで名付けたのが始まりだそうです。

この泡はブレンダーなどで意図的に作り出したものではなく、スープを炊く時に空気と脂が混ざり合い、自然にできたもの。「博多一双」の極上スープは、この泡のマイルドさと豚骨が持つ力強さが同居することで生み出されています。

晶仁さんは、「修業時代、この泡はアクだから捨てなさいと教わりましたが、私は泡が立っている時が1番おいしいと思っていました。戦略的に泡を出しているわけではなく、あくまでもこの状態がおいしいから泡を出しています」と話します。

博多ラーメンのこれからを担う、博多一双のラーメン

泡が浮かぶスープは、国産豚の骨だけを使用。店主の考える黄金比によって豚の頭骨、背骨、げんこつをしっかりと下処理し、高い火力で骨がボロボロになるまで3つの寸胴を使って長時間炊き上げます。どんぶり一面に浮かぶ泡は濃厚な手作り豚骨スープの証なのです。

麺はしなやかで触感が心地いい、歯切れの良さが特徴。形状を平打ちにする事により、濃厚な豚骨スープを持ち上げ、ぷつっと歯切れの良い触感が生まれます。8割もの人が「替え玉」をオーダーするのだとか。

チャーシューは、店主が吟味した安心安全な豚肉を使用。ラーメンダレでラーメンの味を邪魔しないシンプルな味付けをしているため、スープになじみ易く肉の味を楽しめます。その他の具材は、きくらげ、青ネギとシンプルな構成となっています。

福岡「博多一双」のオープンは2024年6月24日。福岡県でしか味わえなかった「博多一双」のラーメン、「豚骨カプチーノ」とはどのようなスープなのか、ラー博で味わえるのが楽しみです。

この記事の執筆者:田辺 紫 プロフィール
神奈川県在住コピーライター。2001年2月より総合情報サイト「All About」で横浜ガイドを務める。2009年4月、第3回かながわ検定 横浜ライセンス1級取得。「横浜ウォッチャー」として、ブログ、SNSを運営。(文:田辺 紫)