GoogleがAndroid 15のベータ版2を2024年5月15日(水)にリリースしました。べータ版Android 15では「日本語表示機能の改善」「プライベートスペースの追加」「AV1のサポート改善」などの新機能が追加されています。また、既存のAndroidで利用可能な盗難対策機能も発表されています。

Android Developers Blog: The Second Beta of Android 15

https://android-developers.googleblog.com/2024/05/the-second-beta-of-android-15.html

Google Online Security Blog: I/O 2024: What’s new in Android security and privacy

https://security.googleblog.com/2024/05/io-2024-whats-new-in-android-security.html

How Android theft protection keeps your devices and data safe

https://blog.google/products/android/android-theft-protection/

◆Android 15のベータ版2で追加された新機能

Android 15は開発者プレビュー版が2024年2月16日(金)に公開され、2024年4月11日(木)には最初のベータ版が公開されました。新たに公開されたベータ版2で追加された主な機能は以下の通りです。

・標準日本語フォントがバリアブルフォントに

Androidには日本語・中国後・韓国語向けの標準フォントとしてNotoSansCJKが搭載されています。新たにNotoSansCJKがバリアブルフォント(可変フォント)に対応し、太さや字幅を自由に調整できるようになりました。



・日本語の変体仮名に対応

Androidn 15では、日本語の変体仮名フォントが標準搭載されるようになります。



・使用中のアプリを隠せる「プライベートスペース」

Android 15ではアプリドロワー内に「プライベートスペース」と呼ばれる領域が追加されます。プライベートスペースはデバイスのロックとは別にロックおよびロック解除を管理可能で、ロック中はプライベートスペース内のアプリの通知や履歴などが非表示になります。また、ユーザーのアカウントやダウンロードしたコンテンツなどもプライベートスペースとメインスペースで別々に管理されます。



・AV1サポートの改善

動画プレイヤー「VLC」の開発元が開発したAV1デコーダー「dav1d」が、AV1のハードウェアデコードに対応していないAndroidデバイスで利用できるようになります。dav1dは従来のAV1ソフトウェアデコーダーと比べてパフォーマンスが最大3倍に向上するそうです。

・GPUアクセスのモダン化

Android 15ではOpenGL ESを実行するためのレイヤーとしてグラフィックスレイヤーエンジンの「ANGLE」が利用されるようになります。これにより、AndroidにおけるOpenGL実装が標準化され、互換性が向上し、場合によってはパフォーマンスも向上するとのことです。

・ページサイズ16KBへの対応必須化に向けた取り組み

Android搭載デバイスのメモリ容量増加を受けて、Android 15にはページサイズが16KBでの環境でのテスト機能などが追加されます。すでにページサイズ16KBのデバイスで「アプリの起動時間が平均3.16%高速化」「アプリ起動時の消費電力が平均4.56%減少」「カメラ起動時間がホットスタートで平均4.48%高速化、コールドスタートで平均6.6%高速化」「システム起動時間が平均0.8秒高速化」といったメリットを確認できているそうです。

・セキュリティ機能の追加

「ワンタイムパスワードを含む通知を非表示にする」「画面共有中に通知を非表示にする」「画面共有中にパスワードやクレジットカード番号を入力しようとすると画面が非表示になる」といったセキュリティ機能が追加されます。

・テスト可能デバイスの追加

Android 15の最初のべータ版はPixelシリーズのみに対応していましたが、ベータ版2ではPixelシリーズ以外にHonor、iQOO、Lenovo、Nothing、OnePlus、OPPO、Realme、シャープ、Tecno、vivo、Xiaomiといったメーカーのデバイスでもテスト可能となりました。



なお、Android 15は2024年6月に安定版がリリースされ、数カ月後に正式版がリリースされる予定です。

◆既存のAndroidでも使える盗難対策機能

Androidではスマートフォンを盗まれた際に「デバイスを探す」を用いてスマートフォンを遠隔ロックすることができます。しかし、「デバイスを探す」を用いたロック機能を使うにはGoogleアカウントのメールアドレスやパスワードを覚えておく必要があります。このため、多くのユーザーが「パスワードが分からないからデバイスをロックできない」という状況に陥っていたとのこと。

新たに、Android 10以降を対象にした遠隔ロック機能「リモートロック」が2024年後半にリリースされることが発表されました。リモートロックは電話番号を入力して「簡単なセキュリティチャレンジ」に回答するだけでデバイスをロックできます。



また、他にも以下のような盗難対策機能が発表されています。

・工場出荷時の状態にリセットした後の再セットアップ時にGoogleアカウントでの認証を求める

・「デバイスを探す」を無効化する際に認証を求める

・信頼できない場所でのPINコード変更などに生体認証を求める

・AIで「デバイスを強奪する動作」を検知して画面を自動ロック

・「認証失敗を繰り返す」などの怪しい動作を検知して画面を自動ロック