縦への意識、スピードアップの追及、ギアを上げるベテランの存在。J3首位攻防戦で見えた沼津の現在地
彼らを追走しているのが、勝点20のアスルクラロ沼津。ご存じの通り、元日本代表FW中山雅史監督が就任して2年目のチームである。
中山体制1年目の昨季は折り返し地点で4位と昇格争いに参戦。意気揚々と後半戦に突入したが、そこから思うように勝てなくなり、最終的に13位という不本意な形でのフィニッシュを余儀なくされた。
彼と徳永晃太郎の両インサイドハーフ、アンカー菅井拓也の中盤3枚を軸としたパス回しを武器とする沼津にしてみれば、そこを寸断されると効果的なゲームメイクが難しくなる。それが後半戦の失速につながったのは確かだろう。
そこで、今季の中山監督はより縦を意識した攻めを強調。「強度」という言葉を口癖のように繰り返しながらアプローチしている様子だ。昨季のエースFWブラウンノア賢信(現徳島)が移籍し、今季はスピードタイプの和田育が最前線に陣取っていることも大きい。
彼がここまで7ゴールと得点ランキングの上位を走っているように、よりスピードと推進力を押し出すスタイルが構築されつつあるのだ。
「相手の守備を打開していくために、ボールを持つだけじゃなくて、ゴールに向かう姿勢を強めないといけない。縦に刺す、背後を狙うといったプレーが今年は増えているし、自分もフィニッシュの部分に顔を出すことを意識しながらやっています」と持井は語る。
実際、1-1で引き分けた10節・大宮戦でもパス回しに固執することなく、シンプルに長いボールを入れたり、サイドバックが局面を打開するなど、変化をつけていこうという意識が随所に感じられた。
前半は大宮に押し込まれたが、1点ビハインドで迎えた後半は巻き返しに打って出る。54分には、右サイドを駆け上がったFW津久井匠海のクロスに和田が一目散に飛び込むと、この瞬間、相手DFのクリアがそのままゴールインし、試合を振り出しに戻した。
「大宮はいろんな部分で強い。それに対抗するために、自分たちのサッカーをよりスピーディなものにしていかなければいけない。それを具現化できたのは1つの成果」と指揮官も前向きにコメントしていた。
