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監督最新作について、主人公J・ロバート・オッペンハイマーの実の孫であるチャールズ・オッペンハイマーが率直な感想を語っている。鑑賞前まで「気を引き締めていた」というが……。

『オッペンハイマー』は、第二次世界大戦中に米陸軍が主導した「マンハッタン計画」で原子爆弾の開発・製造を率いた理論物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの壮絶な半生を辿った1作。ノーラン監督は、カイ・バードとマーティン・シャーウィンによる伝記本『オッペンハイマー:「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』を基に、3時間にも及ぶ超大作を完成させた。

ロバート・オッペンハイマーは1967年にこの世を去ったが、彼の遺志は子孫によって受け継がれている。そのひとりが、孫のチャールズ。劇中にも登場するロバートの1人息子、ピーター・オッペンハイマーの息子であるチャールズは、科学や技術によって生まれた世界に存在する様々な「人類存続の危機」についてオープンに議論し、国際的な協力を呼びかける「オッペンハイマー・プロジェクト」を創設した。

『オッペンハイマー』の撮影現場を何度か訪れたというチャールズだが、映画の鑑賞には複雑な思いを抱いていたそうだ。アメリカで本作が封切られた2023年7月、米とのインタビューに応じていたチャールズは、「クリス・ノーランとは話もしましたし、とても感銘を受けましたが、映画には良い気分にならないよう気を引き締めていました」と語っている。

「私自身、撮影現場を1、2回訪れた時は、彼が驚くべき熱意で仕事をしている姿を見ました。素敵な会話も交わしましたね。それでも、分からなかったんです。“私はこの映画を好きになれるだろうか、それとも嫌いになるだろうか”ということが。」

チャールズは、ロバートの死から8年後の1975年に生まれたため、祖父に関することは父のピーターから教えてもらっていたそう。「父は、他人がよく口にする自分と血のつながった人がどのような人物だったのかを私が知りたがり、質問をすれば、いつでも寄り添ってくれました」。

ロバート・オッペンハイマーに関する作品への懐疑心は、映画『オッペンハイマー』だけに抱いたことではなかったとチャールズは語る。「伝記本や賢人たちが祖父について何かを話した時にも、同じような反応を出したことが度々あります。彼らは何かを見逃している、と感じました。時にそれはとてもパーソナルなものだと感じます。誰かが校庭で喧嘩をふっかける際に、(相手の)家族について何かを言う時と同じような感覚です」。

それでも、いざ映画を観始めると「映画を受け入れて、好きになっている自分がいることに気づきました」とチャールズ。「切迫した物語を伝えていると思いましたし、非常に興味深いアートだと受け取ることができました」と振り返っている。「そういう気持ちになれたことがとても嬉しかった。予想していませんでしたから」。

なお、チャールズは『オッペンハイマー』の製作には一才関わっていないそう。それが、オッペンハイマー家のポリシーなのだという。「メディアや本など ── 私は“オッペンハイマーの呪い”と呼んでいるものなのですが ── については、関わらないのが家族の方針なんです。オッペンハイマーについて書き、語っているものはビジネスですからね」。

映画『オッペンハイマー』は公開中。

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