この記事をまとめると

■最近はコストの観点からナビ機能を持たないディスプレイオーディオが増えてきた

■スマートフォンを利用したカーナビは電波が悪いと信頼性に欠ける場面がある

■自動運転の技術を使うには純正ナビを用いた連携が不可欠だ

純正のカーナビっていまどきいるの?

 いまどきのクルマにとって、インパネ中央付近に鎮座する大きなモニター「センターディスプレイ」は必須アイテムとなっている。

 かつてはカーナビの地図を映し出すことがメイン機能として求められていたモニターは、いつしかエアコンの操作パネルを兼ねるようになり、車種によってはクルマ本体の機能設定のほとんどをモニター(タッチパネル)でするようになっている。バックモニター(もしくはセンサー)の義務化に合わせて、センターディスプレイありきのデザインとなっているのも事実だ。

 とはいえ、昨今の新型車においてはセンターディスプレイ=カーナビといえない状況にもなっている。スマートフォンと連携することでナビ機能を利用できるディスプレイオーディオと呼ばれるタイプのインフォテイメントシステムが増えてきているからだ。

 地図データや経路案内などのナビ機能を持たない(スマートフォンに依存する)ディスプレイオーディオは、一般論としてカーナビよりも安価にできる。

 スマートフォンで目的地情報を検索したり、スケジュール機能と連動して目的地検索をしたりとシームレスな使い勝手のメリットもあり、ディスプレイオーディオ派は増えている印象もある。「カーナビ不要論」を主張するドライバーも少なからず存在しているようだ。

これからの自動運転の世界では純正ナビは必須!

 しかし、自動車メーカーではカーナビを設定しているケースは多数派となっているのも事実。純正カーナビは消えてしまい、将来的にはディスプレイオーディオに置換されるのだろうか?

 はたして、「純正としてのナビ機能は必須になるのか?」という見方もある。

 いまや高速道路での走行支援としてのACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKA(車線中央維持アシスト機能)は、クルマ選びにおいてマストと考えている人は多いだろう。こうした先進運転支援システムにおいて、純正ナビは必須といえる。たとえば、道の曲率(コーナー)などを認識して速度を自動的に調整する機能においては、自車位置と地図データを利用する必要があり、純正ナビと組み合わせることは必須といえる。

 ハンズオフと呼ばれる手放し運転においても、車両に搭載されたカーナビで経路案内していることが起動条件であったりすることもある。さらにいえば、ハンズオフ運転を支援するためには、カーナビとは別に高精度マップが必要だったりもするのだが、いずれにしても純正カーナビとの連携を前提条件として設計されていることが多い。

 そこまで車両制御とリンクしていなくとも、スマートフォンのアプリを利用した経路案内においては、「トンネルなどGPS信号が途切れた環境で自車位置をロストして案内が止まる」、「電波の届かないエリアでは地図データを受信できなくなり、どこにいるのかわからなくなる」というウィークポイントが指摘されることもある。

 山岳エリアなどを走ることが多いドライバーにおいては、ディスプレイオーディオにスマートフォンをつないでもカーナビとして活用できないということもあり得るのだ。

 その点において、ハードウェアに地図データを格納しており、自車位置についてはGPS信号以外の情報でも把握できる純正カーナビにはメリットがあるといえる。

 なお、販売現場などで話を聞くと、高齢ドライバーなどスマートフォンを使いこなせていないユーザーにとっては、ディスプレイオーディオにスマートフォンをつないでカーナビとして利用するというフロー自体のハードルが高いという点もあるのだという。

 いずれにしても、今後増えていくだろう自動運転につながる先進運転支援システムを機能させるには車両が地図データを持っていることが欠かせない。そうであれば、あえてディスプレイオーディオにスマートフォンをつないで経路案内をする必要はない。

 いまはコストメリットからディスプレイオーディオ全盛といえるが、将来的には純正カーナビはマストアイテムになる可能性も大いにあるといえる。