X(旧Twitter)とそのオーナーであるイーロン・マスク氏が反ヘイトスピーチを掲げる非営利団体のデジタルヘイト対策センター(CCDH)を訴えていた件で、チャールズ・ブレイヤー連邦裁判官は「批判を封じて黙らせることを目的としたもの」だとして、訴訟を棄却しました。

Elon Musk vs. Center for Countering Digital Hate: Nonprofit wins dismissal of ‘baseless and intimidatory’ lawsuit brought by world’s richest man - Center for Countering Digital Hate | CCDH

https://counterhate.com/blog/elon-musk-vs-ccdh-nonprofit-wins-dismissal-of-baseless-and-intimidatory-lawsuit/



Musk's X Corp loses lawsuit against hate speech watchdog | Reuters

https://www.reuters.com/technology/musks-x-corp-loses-lawsuit-against-hate-speech-watchdog-2024-03-25/

CCDHは2022年12月、イーロン・マスク氏がX(当時Twitter)を買収して以降、ヘイトスピーチが急増していることを指摘するレポートを発表しました。マスク氏は調査結果を「ヘイトスピーチのインプレッションは全体の0.1%にすぎない」と否定。

Twitterのヘイトスピーチがイーロン・マスクの買収後に急増していると研究者が報告、マスク氏は「全くの虚偽」と反論 - GIGAZINE



単に反論するにとどまらず、「広告ビジネスに損害を与えた」として、訴えを起こしていました。

X(旧Twitter)が「マスク氏の買収後Twitterでヘイトスピーチが急増している」と指摘した非営利団体に訴訟をちらつかせる - GIGAZINE



「数千万ドル(数十億円)相当の広告収入を失った」「CCDHはXから違法にデータ収集を行った」というXの主張に対して、ブライヤー裁判官は「損失額の算出が適切ではない」と反論。「Xは、違法なデータ収集があったかどうかよりも、CCDHの発言をはるかに懸念していると言わざるを得ない」とも述べて、訴えを棄却しました。

また、訴訟そのものがXを批判するその他の人々に向けて「批判するとこうなる」と見せつける、嫌がらせ目的のスラップ訴訟であることも指摘されています。

CCDHを創設したイムラン・アーメッドCEOは「今回の画期的な判決が、世界中の公益研究者を勇気づけ、自分たちが行っている『ヘイトや偽情報、そこから生まれる害についてソーシャルメディア運営企業に責任を負わせる』という重要な仕事を継続し、さらに強化するものであることを願っています」と述べました。