Activision Blizzardの元CEOであるボビー・コティック氏が、OpenAIのサム・アルトマンCEOを含むパートナーのグループに対し、TikTok買収のアイデアを提案したことが報じられています。

TikTok Crackdown Shifts Into Overdrive, With Sale or Shutdown on Table - WSJ

https://www.wsj.com/tech/why-the-new-effort-to-ban-tiktok-caught-fire-with-lawmakers-7cd3f980



Former Activision CEO Bobby Kotick Considering Buying TikTok | PCMag

https://www.pcmag.com/news/former-activision-ceo-bobby-kotick-considering-buying-tiktok

中国との対立が深まるアメリカでは、TikTokを通じてアメリカ国民の機密情報が中国政府へとわたる危険性の懸念から、政府機関などでTikTokの使用を制限する法案が複数施行されてきました。

また、2024年3月5日には、TikTokの直接的な規制を目的とする、より強固な内容の法案「外国の敵対者が管理するアプリケーションがもたらす国家安全保障上の脅威からアメリカ国民を守るための法案」がアメリカ議会に提出されています。

その内容は、TikTokの親会社であるByteDanceに対し、法案の成立から165日以内にTikTokおよびTikTok傘下のその他のアプリケーションを売却することを義務付けるというものです。もしもByteDanceが売却しない場合、アメリカ国内においてアプリの使用が禁止されます。また、中国企業などの外国の敵対者が所有するアプリが国家安全保障の脅威となった場合、政府がそのアプリへのアクセスを禁止できることも条項に盛り込まれています。

TikTokをホスティングするアプリストアを罰する法案が登場 - GIGAZINE



そこでTikTok買収の姿勢を見せたのが、Activision Blizzardの元CEOであるコティック氏です。コティック氏は2023年12月にCEOを退任した際に、「金色のパラシュート」と呼ばれる1500万ドル(約22億円)もの退職金を手にしています。コティック氏はこの資金を基にTikTokの買収を進めようというわけです。

しかし、TikTokを買収するにはおよそ数千億ドル(数十兆円)を要すると考えられており、コティック氏の資金だけでは買収には至りません。そのため、コティック氏は潤沢な資金を持ったパートナーを集めるべく、2024年3月に行われた投資銀行「アレン・アンド・カンパニー」のカンファレンスでの夕食会において、アルトマンCEOらにTikTok買収に向けた自身のアイデアを披露したとされています。



もしもコティック氏とOpenAIが共同でTikTokの買収に成功すると、OpenAIはTikTokを使ってAIモデルのトレーニングに役立てることができるようになります。

なお、TikTokは政府による規制法案に反対すべく、ユーザーに対し「今こそ声を上げよう。政府が1億7000万人のアメリカ人から表現の自由という憲法上の権利を剥奪する前に」「TikTokがあなたにとってどのような意味を持つかを議会に伝え、反対票を投じるよう伝えてください」といった抗議の声を上げるよう推進していることが報じられています。

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