パートナーに先立たれたり、要介護になったり、さまざまな理由で高齢者施設の入居を検討している人も多いと思います。実際にそうなった場合、どのような手順でものごとを進めればよいのでしょうか? 高齢期の住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」主宰、20年以上前から全国の高齢者施設を精力的に視察するファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんに施設見学のポイントや手続きのフローを教えてもらいました。

高齢者施設の見学時の注意点は?

体が弱くなってからの見学は、どうしても見方が甘くなりがち。元気な前期高齢者(65〜74歳)のあいだに、6〜7か所を目安に見学に行きましょう。

訪ねるときは、クルマではなく、公共の交通手段と徒歩で。入居後の外出のしやすさ、道の安全性などがチェックできます。施設に行ったら、居室や設備、介護や医療のサービス内容はもちろん、ぜひ食事も試食してください。食事が自分の舌に合うかどうかは、老後のQOL(生活の質)にとても重要です。

●最寄り駅からの移動はなるべく徒歩で

施設まで徒歩何分か、車イスでも移動しやすいかを確認。きつい勾配や歩道と道の段差が多いと、入居後の行動範囲を狭める原因に。

●施設の食事はお金を出して試食する

無料で食事を出してくれる施設も多いが、採点が甘くなりがち。自分でお金を出した方が金額に見合うかどうか、シビアに判断できる。

●どんなアクティビティがあるかチェック

自立型や軽度の要介護で入る場合は、アクテビティもチェック。自分が楽しめそうな内容か、参加者は何人ぐらいかなどを確認して。

●入居者の話も聞いてみる

入居者とすれ違ったら、「ここの生活はどうですか」と質問を。入居を検討中と話せば、入居者ならではの感想を聞くことができる。

入居に必要な手続きは?

入居の際は、要介護度や健康状態、経済状況などの審査があります。ほとんどの施設で身元保証人が必要なので、頼める親族がいない場合は身元保証会社を検討しましょう。施設入居だけでなく、入院時の保証や通院付き添い、死後の事務処理委任なども依頼できるので、元気なうちに見つけておくと安心です。

会社選びでは、利用者の預託金が運営資金と別管理か必ず確認を。別管理なら、万が一倒産した場合も預託金が戻ります。会社に出向いて、信頼できるか判断しましょう。

●民間の保証会社のサービスと料金

認定NPO法人「きずなの会」の費用例。入会時に約64万円を支払い、身元保証、生活支援、葬送支援のいずれか(複数可)を依頼する。別途、年会費(1万1000円)や、契約によっては弁護士法人への金銭預託手数料などがかかる。

一度入ったら「最後」までいられる?

一般にケアハウスやサ高住などは介護度が重くなると住み替えが必要。ただ、併設の介護棟があって移れる施設もあります。介護付き有料老人ホームは基本的に最後までいられますが、長期入院すると病院代との二重払いが負担に。看取りを行う施設では、実績件数を尋ねましょう。件数が多いほど、本気で取り組んでいる証拠です。