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最新主演作『哀れなるものたち』が劇場公開中のエマ・ストーン。ゴールデングローブ賞、放送映画批評家協会賞受賞に続き、アカデミー賞の主演女優賞のノミネートも果たしている。軽妙なコメディ作品から、スーパーヒーローもの、そして近年は製作陣としても躍進するストーンの華麗なるフィルモグラフィをここにご紹介したい。

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ストーンの記念すべきスクリーンデビュー作品は『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007)。セス(ジョナ・ヒル)とエヴァン(マイケル・セラ)が高校卒業を目前に初体験を目論むおバカかつ胸アツな青春コメディで、ストーンはセスが密かに憧れる同級生ジュールズを好演。キャリア初期からコメディ作品の出演が多いストーンだが、『ゾンビランド』(2009)『小悪魔はなぜモテる?!』(2010)など、溌剌としたティーンエイジャーを演じていてもどこかクールでドライな雰囲気が醸し出されるのは、ストーンの唯一無二の魅力でもあるハスキーボイスによるところが大きいのかもしれない。のインタビューでは、「赤ん坊のときにすごく夜泣きをしていたことから来ていると私は思っているんだけど、本当にそのせいなのかは分からないんです」と答えている。

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コメディエンヌとしての力量が早くも炸裂しているのは『ラブ・アゲイン』(2011)。ある日突然妻から離婚を切り出されれたキャル(スティーブ・カレル)がジェイコブ(ライアン・ゴズリング)が女性にモテるコツを指南される中でドタバタ騒動が巻き起こるストーリーだが、ジェイコブが運命の出会いを果たすのがストーン演じるハンナだ。カレルのほか、ジュリアン・ムーア、マリサ・トメイ、ケヴィン・ベーコンなど錚々たるベテラン俳優たちが揃い踏みする本作で、まだまだフレッシュな存在のストーンはストーリーの大きな核となっている。多幸感さえある終盤の畳みかけと、この後、数回にわたって共演することになるゴズリングとのフレームインには初々しさが残っている。

世界的なスターへと飛躍するきっかけとなったのは、ピーター・パーカー / スパイダーマン()の恋人グウェン・ステイシー役を演じた『アメイジング・スパイダーマン』シリーズだ。スパイダーマンと協力するグウェンは聡明なキャラクターだったが、2人には哀しい出来事が訪れる。グウェンがいかに大事な存在であったかは、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)劇中でもアンドリュー演じるスパイダーマンがトム・ホランド演じるスパイダーマンに語り継いでいる。

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『アメイジング・スパイダーマン』での共演時からプライベートでもカップルとなったストーンとアンドリューは、破局後もお互いをリスペクトし合う関係性。特にアンドリューは「無人島に1人連れていくなら誰にしますか」と訊かれた際に「エマ・ストーンです。彼女を愛しているから」とほど。『ラ・ラ・ランド』(2016)でストーンがゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞した際には、アンドリューは真っ先にスタンディングオベーションを捧げ、共演のライアン・ゴズリングが主演男優賞を受賞した際には興奮のあまり、隣に着席していたライアン・レイノルズとキスを交わし、これが世界中でバズを巻き起こしてしまった。その動画をストーンが「本当にしたんですか?」と屈託なく笑う様子からは、大女優の貫禄と、これまで数々の作品で見せていたフレンドリーな表情が共存している。

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ゴズリングとは3度目の共演となった『ラ・ラ・ランド』では初のアカデミー主演女優賞を獲得。映画女優を目指すミア(ストーン)とジャズピアニストのセバスチャン(ゴズリング)の切なくも美しいラブストーリーは全世界での興行収入は4億4700万ドル超を記録し、ミュージカル化がするほか、2024年2月には日本にてシネマ・コンサートがとなるほど、今日も高い人気を誇っている。

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ルーベン・フライシャーやウディ・アレン、ウィル・グラックなど、同じ監督の作品に複数回呼ばれることも多いストーン。目下、その真価を顕すのはギリシャが輩出した鬼才、ヨルゴス・ランティモス監督とのタッグだろう。『女王陛下のお気に入り』(2018)では、アン女王(オリヴィア・コールマン)の寵愛を受けるべく、公爵夫人サラ(レイチェル・ワイズ)と女同士の攻防を繰り広げる女中のアビゲイル役を熱演。愛憎に満ちた宮廷ものとしてだけではなく、『ロブスター』(2015)や『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017)などランティモスが得意とするシュールレアリスティックなユーモアをもって、ストーンもまた新たな境地を開拓した。

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賞レースを席巻中の『哀れなるものたち』で再タッグを果たすと、たった1分という短尺ながら不穏な空気を漂わせる『Bleat(原題)』も公開された。そして、の起用となる『AND(原題)』ではジェシー・プレモンス、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリーという強力な布陣と共演の予定が報じられている。

コメディで培ったケレンみは引き続き進化しており、『クルエラ』(2021)ではディズニーのアニメーション映画『101匹わんちゃん』の悪役クルエラ・ド・ヴィルの若き日の姿を演じた。母を失った少女エステラが、オートクチュールデザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)との出会いを経て、したたかに、でも逞しくヴィランへと変貌する様子はまさにピカレスクロマンだ。1960~70年代のヒットナンバーを中心としたBGMは、選曲そのものはオーセンティックながらも、エステラがバロネスのオフィスに行くシーンではニーナ・シモンの「Feeling Good」、バロネスの登壇するレッドカーペットを邪魔するシーンではブロンディの「One Way Or Another」、そしてエンドクレジットでフローレンス・アンド・ザ・マシーンの「Call Me Cruella」と、物語が動く場面で女性ボーカルの楽曲が使われているところが小気味よい。

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押しも押されぬ実力派女優として走り続けるストーンは、今日は製作陣としてもキャリアを踏み出している。パートナーであり、コメディアンや脚本家として活躍するデイヴ・マッカリーと立ち上げた制作会社「フルート・ツリー」の第一弾作品となったのが、現在劇場公開中のA24作品『僕らの世界が交わるまで』だ。ストーンが『ゾンビランド』シリーズで共演したジェシー・アイゼンバーグの初長編監督作品である本作は『アリスのままで』(2015)などのジュリアン・ムーアと「ストレンジャーシングス 未知の世界」シリーズのフィン・ウォルフハード演じる親子の、世代ゆえのすれ違い、もどかしさ、歯がゆさを、丁寧に、そしてたっぷりのユーモアで描いており、メガホンを取ったアイゼンバーグの手腕も、プロデューサーとして加わったストーンの豊かな経験も随所で感じられる秀作だ。フルート・ツリーはA24とファーストルック・テレビ契約をしており、今後も続々と作品が製作される予定。女優として、プロデューサーとして、ストーンの行く先からまだまだ目が離せない。

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