新型コロナが5類に移行して初めてとなった、2023〜2024年の正月休み。なかには、久しぶりに旅行に出かけたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。では、海外ではどうなっているのでしょう。アメリカ・シアトルに住んで20年、子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「アメリカ人の休み方」について教えてもらいました。

日本は「祝日」が多すぎる?

もう20年も日本のお正月から遠ざかっている私は、華やかで厳かなあの独特の雰囲気が懐かしくてたまりません。しかも三が日が過ぎると、すぐに成人の日の連休。ゴールデンウィーク、お盆休み、シルバーウィークと、日本はなんだかんだ休みが多い印象です。

アメリカはイースターにハロウィンと、イベントならたくさんありますが、休み自体は意外と少ないのが実情。年間の祝日は10日ほどで、しかも独立記念日、感謝祭、クリスマス、元日などは休んでも、たとえば1月第3月曜のキング牧師の日は、会社によっては休みとならないことも。

有給休暇も年間2、3週間設定している会社がある一方で、まったくない会社も一定数存在します。筆者の住むシアトルでは近年、ようやく有給による病欠が法的に認められたところです。

ただし、子どもの休暇はたくさんあります。祝日以外に、6月中旬から9月初旬までの長い夏休み、さらに2月の大統領の日、4月のイースター、11月の感謝祭の週はそれぞれ1週間、クリスマス前からお正月までは2週間の休みがあります。

アメリカ人はいつ休む?

こう書くと、親は休めず、子は休みすぎで、どう回していけるのかと思うかもしれません。実際にアメリカにいて感じるのは、会社によって有給であれ、無給であれ、休み自体は日本より取りやすい職場環境だということ。今は昔ほどではないとも聞きますが、日本のように休みにくい空気はまったくありません。

それは、アメリカでは個々でやる仕事が明確に決まっていて、日本では個々の分担があいまいという違いもあるのではないでしょうか。もし自分が休むことで周りに負担が行くようであれば、気兼ねして休暇を取りづらいですよね。

アメリカの場合、自分で自分の仕事のスケジュールを調整して休暇を取るというだけの話。皆それぞれが「自分のやるべきことをやっていればOK」という考え方なのです。

それでは、休みの間、穴埋めはだれがするのか? 職種や職場の体制にもよるとは思いますが、基本的にはだれもなにもししません(笑)。

たとえばメールや電話をすると、「ただいま休暇中です。◯日に戻り次第、折り返します」と返ってきます。その間、連絡は一切つきません。なのでこちらも、◯日以降に対応してもらえるのだな、と思うだけです。そう、穴埋めは後日、担当者が自ら行うということ。

子どもの夏休みなどの長期休暇中、または感謝祭、クリスマス、元日と祝日が続くホリデー・シーズンは、子どもに合わせて長めの休暇を取る人が多いのですが、その間はビジネスが回るのかと言われれば、あまり回ってはいないのかもしれません…。

でも、それは日本人が一斉に休むGWやお盆、お正月の時期と大差ないとも言えます。こちらも、夏季とホリデー・シーズンは何事もスローになることを見越して動くしかないですね。

アメリカ人は「休み」に、なにをする?

日本ではあまり聞かないのが、「ボランティア休暇」。地元のコミュニティー団体や子どもが通う学校などでボランティアをするための有給休暇制度です。キリスト教文化が根づくアメリカで、ボランティア活動は日常の延長にあります。それを企業や政府も、有給という形であと押ししているのがすてきですよね。

もちろん、旅行好きなアメリカ人はいっぱい。円安の今、日本も人気の旅行先となっています。ただ、日本人と違うのは、旅行先で「ちゃんと休む」ということ。若者もシニアも圧倒的に個人旅行派が多く、プランを詰め込みすぎることなく、1、2週間かけて自由時間を楽しみます。旅好きであればあるほど、なにもしない時間を大切にしている気がします。

よく耳にする海外旅行先は「カナダ」と「メキシコ」。陸続きなだけに、米国の自動車運転免許証がそのまま使えるのも便利です。

ビーチ・リゾートは、西海岸ならハワイ、東海岸ならカリブの島々ですね。カジュアルな装いで大自然の中でのハイキングやビーチでの日光浴を満喫するリラックス旅が主流です。観光やショッピングがメインとなる時間の割合は、日本人と比べてかなり低いかもしれません。

何か月もバカンスを取るフランス人などヨーロッパ勢と比べれば、ささやかなものですが、プライベートを大事にするアメリカ人にとって、休暇は欠かせないもの。休める祝日は少なくても、やりくりして心と体を休め、家族との時間を過ごしています。