「私にとって、“ケチ”とはお金を節約するのはもちろんですが、毎日を楽しくするためのものだと思っています」と話す、タレントの松本明子さん。松本さんが普段から実践している、約100個の節約術をまとめた著書『この道40年あるもので工夫する松本流ケチ道生活』(アスコム刊)より、伝線したストッキングの使い道にまつわる「ケチ活」を抜粋して紹介します。

破れたストッキングは掃除に大活躍

履いている人が減ったと言われていますが、私はまだまだ履くことが多いのがストッキング。テレビのお仕事のときや人前に立つときには欠かせないアイテムになっています。
そんなストッキングですが、技術の進歩があるとはいえ、いまだによく伝線が入ってしまって破れることが多いですよね。「まだ1回しか履いていないのに…」みたいなとき、本当にもったいないと思ってしまいます。

破れたストッキングは静電気を発生させるためほこり取りに向いているとよく言われていますが、ご多分に漏れず、私もお掃除アイテムとして使っています。

割り箸に細く巻きつけて手や掃除機が入らない隙間を掃除したり、夫が昔、使っていた剣道の竹刀にスポッとかぶせてベッドの下のほこりを取ったり…。本当にゴッソリよく取れるんですよ。とくに竹刀は便利。真っ直ぐなのでかぶせやすいのと、グリップが持ちやすいので「ほこりを取るためにつくられたのでは?」と思うくらい。ベッドの下で大きくひと拭きすればびっくりするくらいきれいになる。
汚れを取ったあとは、くるっとまるめて捨てるだけなので手も汚れないです。

●“ストッキングを捨てたらダメ”という黒柳徹子さんの教え

ちなみにストッキングが掃除に向いていると教えてくださったのは、黒柳徹子さん。
結婚して間もない頃にテレビ番組の「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に出させていただき、そこで「これから主婦としてやっていくのなら、ストッキングさえもムダにしちゃダメ」とアドバイスをいただきました。かなり意外だったんですが、どうも黒柳さんもやっていたらしく「テレビの画面を拭くのもいいわよ」と教えてくださって。今でもストッキングを使って掃除をするたびに思い出します。

●ほかのアイテムと組み合わせて活用することも

ストッキングは掃除アイテムとして本当に優秀で、クリーニングを出したときについてくる針金のハンガーをひし形に変形させ、それにかぶせて“ポイ(金魚すくいのときに使う丸い枠に薄い紙を張った道具)”をつくり、お掃除アイテムに変身させることもできます。
これはお風呂の水の汚れを取るのにぴったりで、家族の中で最後にお風呂につかる私にとってはすごく便利。ゴミだけをキャッチしてくれます。

水は通して浮遊物をキャッチする、この特性をもっと生かせないかと考えたのが、花を花瓶に生けるときに花の根元にストッキングの足先部分をかぶせて固定するというワザ。
水を通すのでかぶせても問題ないし、固定するのも簡単。そしてお花は日が経つと根元がヌルヌルしてきて水が汚れてしまうのですが、これだと汚れをストッキングがキャッチしているので、水が汚れることもほとんどないです。水を入れ替えるときも、ストッキングをかぶせたまま取り出し、根元のみをサッと洗ってまた新しい水に挿せばOK。そして枯れてしまったときは、ストッキングごとゴミ箱へ。仕事柄、お花をいただくことが多いので、これは使えるなと思っています。

あとはストッキングの丈夫なところを利用して、羽毛ふとんを収納するときのひもとしても活用。
どうしても羽毛ふとんは、空気を含んで広がりやすいですが、コンパクトに畳んだあと、ストッキングで固く束ねると圧縮できるんですよ。ストッキングは伸びがよくて、上下に力をかけることに関しては切れることもないので万能です。

それ以外だとブーツスタンド。
股上部分をカットしたストッキングの脚部分に、棒状に丸めた新聞紙を入れるのですが、ポイントは新聞紙をくしゃくしゃにすること。

新聞紙を1枚ずつくしゃくしゃにしたら、一度、手で広げます。それを数枚重ね棒状に丸めます。すると、とてもやわらかい棒になるので足首の部分が曲がって、ブーツの足が入る部分にもフィットするんです。新聞紙のインクには消臭効果があるため、形をキープしつつ脱臭もしてくれるすぐれもの。そのうえ、新聞紙は湿気も取ってくれるのでブーツ自体にカビが発生しにくくなります。本当に素晴らしい。
ちなみにストッキングの太もも部分はお気に入りのリボンで結んだりしたらかわいくなります。自分の手でアレンジできるのも楽しいところです。

●掃除アイテム以外にもアレンジ

ひと手間加えるとどんどん変身していくのも手づくりの魅力。
これはストッキングというよりカラータイツのほうが映えますが、股上部分を使ってシュシュをつくったことも。脚部分をカットしたタイツは腰まわりサイズの筒になります。上下を合わせるように折り返し、中にヘアゴムを通して縫っていきます。意外とクシュクシュっとなってかわいいんですよ。まさか元がタイツだなんて誰も思わなかったはずです。

こうやって考えていくと、本当にストッキングは万能。アイデア次第で何にでも変化していきます。
ただ脚部分は結構使い道があるけれど、腰回りはいまいち活用方法が見つかっていない現実があって…。今は胴回りを含めて、お掃除アイテム以外でも何か使えないか、日々考えています。

保温性と収縮性に優れたストッキングはインナーにも使える

今回、“ケチ活”についていろいろ振り返ったり、まとめたりしていて、ずっと引っかかっていたストッキングの“第2の人生”。「“ストッキングを捨てたらダメ”という黒柳さんの教え」で書いたように、「お掃除アイテムとしてはかなり優秀だけれど、本当にそれだけで終わらせていいのかな?」と常に頭の片隅においていました。
ちなみに“ケチ活”のいいアイデアが浮かぶのは大抵ベッドの中なんですが、眠くなる前にふとんに入り、うつらうつらしながら「ストッキングの使い道は他に何があるんだろう」と考えるのが日課になっていました。

先日もベッドでストッキングのことを考えていました。どんな形にでも伸びる収縮性と薄くても温かい保温性を生かしたものは何かなと。そうしたらふと頭に浮かんできたのが、以前、大阪のおばちゃんから聞いた「ストッキングは着られる」という話。「着られるって、どういうこと!?」「どうやって!?」と、考え始めたら止まらない。となると寝ている場合ではない! 急いでストックしてあるストッキングの山に手を伸ばしました。

まず足首のところをはさみでカット。そして股の縫い目のところに15センチ程度はさみを入れ、そこをかぶり首を出せるようにします。脚の部分に両腕を入れ、切った股のところから頭を出す。つまり、ストッキングの股の部分からかぶるように着るわけです。すると、なんてことでしょう。上半身に着用できてしまった!

実際に着てみると程よくフィットして圧迫感はあまりないうえ、なかなか温かい。私は「やった!」と思いました。「ついに見つけたな!」と。この思いをいち早く伝えたく、すぐさま写真を自撮り。夜だったのにもかかわらずマネージャーにメールを送りました(笑)。夜中に突然メールが来たと思ったら私がストッキングを着ている写真ですから、さすがに驚いたようです。

ちなみに先日、「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系)に出演させていただいて、この世紀の発明を明石家さんまさんにお伝えしたら、笑ってくださったのですが、どうも私の熱量とはズレていて(笑)。「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)でも紹介したんですが、ダウンタウンのお2人も含め、出演者の方は若干引き気味でした。
まぁインナーなんて買っちゃえばいいと言われたらその通りなんですが、どうしてもまだ誰もが見たことがないストッキングの“第2の人生”を見つけたかったんですよ。この自分だけの楽しみみたいなのも、ある意味“ケチ活”らしいなと思います。自分だけの大発見。それができた今は、かなり満足しています。

松本明子さんの著書『この道40年あるもので工夫する松本流ケチ道生活』(アスコム刊)では、ほかにもさまざまな“ケチ活”テクニックを紹介しています。