本人猛省も「メジャーキャリアは終わった」の声 逆風が強まるバウアーに浮上する日本球界再挑戦の可能性

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日本で異彩を放ったバウアー。メジャー復帰を熱望するが、彼に対する評価はシビアだ。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 日本球界で一大フィーバーを巻き起こした“最強助っ人”トレバー・バウアー。今オフにDeNAとの単年契約が満了となり、メジャーリーグ復帰を狙っている32歳だが、逆風は強まる一方だ。

 いまだ錆びつかない実力は証明した。昨年3月に鳴り物入りでDeNAに入団したバウアーは、19先発で2桁勝利(10勝)を記録。さらに防御率2.76、WHIP1.15、QS率78.95%と堂々たるスタッツをマークし、本人が「自分は世界でトップ15には入る」と力説するほどの結果を出してはいる。

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 そんなバウアーの前には、過去に貼られたレッテルが立ちはだかる。21年に米球界を追われる原因ともなった女性への性的暴行疑惑は昨年10月に和解が成立。すでに訴訟問題も解決済みではある。しかし、近年の米球界は素行不良をタブー視する傾向が以前よりも強く、厳しく断じられるようになっている。そのため、どれだけ結果を残そうとも32歳のベテランが再びチャンスを得られるかは不透明なのだ。

 本人は改心した姿を公の場で見せている。今月4日に米放送局『FOX News』の報道番組「America’s Newsroom」に出演し、「僕は性的暴行をしたことは決してない。この2年半は、そのように見られてきたが、それは自分の人間性を示したものではない」と自らの潔白を主張。一方で「僕は間違いを犯した。やるべきでなかったことをしていたことに同意する。その過程で多くの人を傷つけた」と猛省した。

 日本に馴染もうとしたDeNA在籍時の振る舞いを見ても、セカンドチャンスは与えられるべきとは考えられる。だが、米球界でバウアーに対する見方は驚くほどにシビアだ。かつてレッズとナショナルズでGMを務めた経験のあるMLB解説者のジム・ボウデン氏は、米YouTubeチャンネル『Foul Territory』に出演。「これはあくまで私の意見にすぎない」と前置きしたうえで、「彼のメジャーでのキャリアは終わった。これは絶対だ」と論じている。

「彼に対する疑惑の内容についてはここでは話さないが、私はバウアーの告白だけをもとに自分の意見を言うよ。もうMLBで彼にオファーをするチームは1つもない。(MLBキャリアは)終わりだ。私は16年間GMを務め、その間に球界の誰よりもセカンドチャンスをあらゆる選手たちに与えたと思っている。だが、私が今もそういう役職にいたとしたら、バウアーに2度目のチャンスは与えない」

 ボウデン氏のようにバウアーのこれまでの言動を厳しく断じる声は小さくない。そうした風潮を見るとメジャー契約を勝ち取るのは容易ではないだろう。となると、必然的に浮上するのが、日本球界への電撃復帰の可能性だ。

 古巣DeNAはもちろん、山本由伸のドジャースへのポスティング移籍により、巨額の投資が可能となっているオリックス、さらに投手陣の立て直しが急務となっているソフトバンクなど候補は数多に存在する。いずれの球団にとっても、戦力と人気の両面で大きな効果が期待できるバウアーが魅力的に映るのは間違いない。

 岐路に立たされているバウアーは、強まり続ける逆風を何とかはねのけ、メジャー復帰を叶えるのか。それとも紆余曲折を経て、もう一度、日本でのキャリアを始めるのか。日本の野球ファンを唸らせた世界最高クラスのピッチングが冴える場所は、果たして、どこになるか――。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]