この記事をまとめると

■マツダCX-8は2023年12月に生産終了を迎える

■2024年に後継車として「CX-80」が導入される予定だ

■ボディサイズがCX-8より大きくなり価格も高価になることが予想される

CX-8が販売終了目前

 いまはSUVの人気が世界的に高く、各メーカーともラインアップを充実させている。とくにマツダは海外の販売比率も高いため、国内で売られる車種を見ても、約半数がSUVだ(OEM車を除く)。

 マツダのSUVは、直近では2022年にCX-60を加えた。新開発されたプラットフォームを採用して、駆動方式は後輪駆動の2WDと4WDになる。エンジンも新開発の直列6気筒3.3リッタークリーンディーゼルターボを用意した。これを縦向きに搭載して、滑らかな吹き上がりと、前後輪の優れた重量配分を実現させている。

 その一方でCX-8の生産が2023年12月に終了する。12月中旬に販売店に尋ねると「いまでもCX-8の受注は可能だが、在庫の台数が少なく、グレードも限定される」と言われた。

 CX-8を廃止する直接の理由は、2024年にCX-80が加わるからだ。CX-80はCX-60と同じく、後輪駆動のプラットフォームを採用する。マツダの最上級SUVに位置付けられ、CX-8と同様に、3列のシートを備えることも特徴だ。

 そうなるとCX-8は、前輪駆動ではあるが、車両の性格がCX-80と重複する。そこで設計の古いCX-8を廃止する。

マツダは今後、プラットフォームを一新する

 この背景には、マツダのプラットフォームの再構築がある。以前のマツダのプラットフォームは、ロードスターを除くとすべて前輪駆動だった。それを今後は、コンパクトとミドルサイズは前輪駆動で、Lサイズを含めた上級車種は後輪駆動に切り替える。そして上級の後輪駆動車には、直列6気筒エンジンも搭載する。日本で販売する後輪駆動プラットフォームの車種は、CX-60、CX-80、次期マツダ6だ。

 CX-8と入れ替わりに投入されるCX-80は、後輪駆動SUVの主役になる。ちなみにすでに販売されているCX-60では、乗り心地の硬さが指摘された。それはCX-60が後輪駆動のプラットフォームを使うSUVのスポーティなショートバージョンに位置付けられるからだ。従って、本命のCX-80が登場しないと、後輪駆動によるプラットフォームの真価はわからない。

 ただし、CX-80はボディが相当に拡大する。直列6気筒エンジンを搭載できる後輪駆動のプラットフォームは、CX-60を見ればわかるようにボンネットが長く、そこにCX-8と同等以上の3列シートを備えた室内空間を組み合わせるからだ。

 CX-60の場合、車内の広さはCX-5と同程度だが、後輪駆動の採用に伴って全長は165mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は170mm上まわる。このボディの拡大をCX-8とCX-80に当てはめると、後者の全長は5090mm、ホイールベースは3100mmに達する。

 海外で販売されている後輪駆動のCX-90は、CX-80と共通のプラットフォームを使った3列シートのSUVで、全長は5120mm、ホイールベースは3120mmだ。CX-80もこれに近い大きさで、全幅だけはCX-60の1845mmに近い数値まで狭める。

 それにしても全長が5mを超えるSUVは、日本車では珍しい。トヨタランドクルーザー(300)でも、全長は5m以内に収まる。日本の使用条件では、前輪駆動の採用で空間効率を高め、全長を4925mmに抑えたCX-8が扱いやすい。

 後輪駆動ベースのCX-80も上質なSUVに仕上がるが、ボディは大柄で、売れ筋の価格帯も450万円以上だろう。CX-8で豊富に用意される300万円台のグレードは、選べたとしても装備のシンプルな廉価グレードに限られる。つまりCX-8にも存在価値があったと言える。