未確認飛行物体(UFO)を含む未確認空中現象(UAP)は世界中で目撃されており、2022年にはアメリカ国防省がUAPの調査機関「全領域異常対策室(AARO)」を設立するなど国家主導のUAP関連プロジェクトも存在しています。一方でイギリスでは「UFOは悪魔のしわざである」という言説を信じる政府高官によってUFO調査プロジェクトが停止に追い込まれた事例があることが明らかになりました。

'Demonic forces' stopped official investigations into UFOs in the UK | Tech News | Metro News

https://metro.co.uk/2023/12/22/government-failed-investigate-ufos-fears-demonic-forces-20013861/

UFOを含むUAPの目撃情報の中には単純なトリックで説明できるフェイク情報も多く含まれていますが、中には「アメリカ軍の戦闘機が記録したUAP映像」なども存在しています。アメリカ国防省は2022年にUAPに関する調査を行う全領域異常対策室(AARO)を設立しており、2023年9月にはUFO関連の情報をまとめたウェブサイトを公開するなどUAP関連の調査および情報公開を積極的に進めています。

アメリカ国防省がUFO情報まとめサイトを開設、正体不明の飛行物体を記録した動画が多数あり - GIGAZINE



アメリカ国防省がUAP関連の調査に積極的に取り組んでいる一方で、イギリス国防省は2009年にUFO調査部門を閉鎖しています。新たに、1991年から1994年にかけてイギリス国防省のUFO調査部門を率いていたニック・ポープ氏が「イギリスでは、『UFOは悪魔の力によって生じている』という言説を信じる有力人物らによってUFO関連研究が妨害されている」と証言しました。

ポープ氏はイギリスのUFO調査を妨げた有力人物として、1971年から1973年にかけて国防参謀総長を務めていたピーター・ヒル=ノートン氏を挙げました。ヒル=ノートン氏がUFO調査否定派に回った原因は、「UFOは悪魔的な現象である」と説くポール・イングレスビー司祭にあったとポープ氏は指摘しています。

イギリスでは、1980年に複数の軍関係者がUFOを目撃する「レンデルシャムの森事件」が発生しました。ヒル=ノートン氏はレンデルシャムの森事件の発生当時は関連情報の公開を国防大臣に求めるなどUFOの調査に積極的な姿勢を示していたとのこと。しかし、ヒル=ノートン氏はイングレスビー司祭と接触してから「UFO現象が悪魔によって引き起こされたものならば、UFOについて調査することは悪魔に力を与えることになる。このため、UFOの調査は避けるべきである」という思想を持つようになったとのこと。

イギリス国防省の上層部にはヒル=ノートン氏の他にも同様の思想に目覚めた人物が複数在籍しており、UFOは悪魔的な現象であると信じる上層部の意向によってイギリスのUFO調査は阻害されたとポープ氏は主張しています。

なお、ポープ氏は「UFOは悪魔が引き起こした現象である」という思想がイギリスだけでなくアメリカにも広がっていると指摘しています。