ソフトバンクと岐阜大・NICT・名工大、障害物による電波の遮蔽に強い300GHz帯テラヘルツ無線伝送 6G見すえ自己修復ビームで実証
●遮蔽に強いテラヘルツ無線通信に期待
近年、無線通信の高速化・大容量化の要求によって、100Gbps以上の伝送速度を実現するBeyond 5G/6G技術に関する研究開発が世界的に盛んに進められている。
例えば、28GHz帯で第1フレネルゾーン(送受信アンテナを直線で繋ぐ経路の伝搬に対して、伝搬による位相差が180度以内となる範囲)のおよそ5%を遮蔽する大きさの障害物は、300GHz帯の第1フレネルゾーンのおよそ50%を遮蔽することになる。この遮蔽によって受信パワーは6dB程度減少することになる。
フロントホール(基地局の処理部と無線部を接続する回線)/バックホール(基地局とコアネットワークを接続する回線)用途の見通し固定無線通信(通信装置およびアンテナを柱などに設置して通信を行うシステム全般)では、近傍のシステムとの周波数共用が図りやすい一方、狭いビーム断面を鳥などの障害物が横切ると通信エラーが発生し、場合によっては通信が切断されてしまうことが懸念されている。

研究グループは、300GHz帯においてベッセルビーム(ビーム断面内の振幅分布がベッセル関数に従うビームで自己修復特性がある)を生成し、ベッセルビーム断面内に設置された障害物により乱されたビーム形状が、伝搬とともに自己修復することと、通常のガウスビームと比べて障害物による通信エラーの発生が少なくなることを実験的に確認した。
自己修復ビームにより、障害物による電波の遮蔽に強いテラヘルツ無線通信路が形成可能であることを示した今回の研究成果は、これまでテラヘルツ無線の大きな弱点であるとされてきた、障害物によるビーム遮蔽に脆弱であるという問題を解決し、Beyond 5G/6G時代の超高速無線通信の実用化への重要な一歩と位置付けられるとしている。
研究成果は、2023年12月18日(現地時間)にApplied Physics Letters誌のオンライン版で発表された。
今後は、今回の研究成果を拡張し、屋外でのデータ通信のユースケースを目指した長距離化や、さらに大きな障害物でも対応を可能にする自己修復ビームの発生に関する研究を進めていくとしている。
