iMessageをAndroidで使えるようにする「Beeper Mini」に対するAppleのブロック措置を連邦取引委員会が牽制
連邦取引委員会が「プライバシーやセキュリティを理由に、サービス間の相互運用性を認めないような企業を精査する」との声明を発表しました。具体的なサービス名を挙げたものではありませんが、Androidでも「iMessage」のプロトコルでメッセージを送受信できるアプリ「Beeper Mini」を、Appleがセキュリティの問題を理由に何度もブロックを行っていることを念頭に置いたものとみられています。
https://www.ftc.gov/policy/advocacy-research/tech-at-ftc/2023/12/interoperability-privacy-security
Apple’s Newest Headache: An App That Upended Its Control Over Messaging - The New York Times
https://www.nytimes.com/2023/12/22/technology/apple-iphone-beeper-mini.html
「iMessage」はAppleが提供しているメッセージングサービスで、既読通知機能やファイル送受信機能を備えています。Android端末ともメッセージのやりとりは可能ですが、既読通知やファイルの送受信は制限されてしまいます。
Beeperが開発した「Beeper Mini」はこの制限を取り払い、Androidから「iMessage」を同じ機能を使えるようにするアプリです。
Androidからメッセージを送ってもiMessageで青い吹き出しになる「Beeper Mini」登場 - GIGAZINE
しかし、AppleはiMessageを広く開放するつもりはなく、複数回にわたってBeeper Miniをブロックしています。
AndroidでiMessageを使えるアプリ「Beeper Mini」をAppleが再びブロックし一部ユーザーが利用不可能に - GIGAZINE
このことと関連してか、2023年12月21日、アメリカ連邦取引委員会は「相互運用性、プライバシー、セキュリティ」というタイトルの記事を技術ブログで公開。
「企業は自社製品やサービスを他社製品・サービスと相互運用することを拒否する正当な理由として、プライバシーやセキュリティを主張することがあります」と前置きした上で、「正当化はケースバイケースで精査される必要があり、反競争的行為の単なる口実であると判明した場合は拒否されるべきである」と2021年の前例を引用し、「今後もあらゆるツールを活用して反競争的行為を特定し、相互運用性に対する制限や禁止がプライバシーやセキュリティを保護する適切な方法であるという主張について、綿密に精査していきます」と述べました。
また、New York Timesは、2023年12月12日にBeeper側が司法省の反トラスト法担当弁護士との面談を行ったことを報じています。司法省は4年前から、Appleの反トラスト法的行為について調査を行っているとのこと。
さらに、上院司法委員会の独占禁止法小委員会に所属するエイミー・クロブシャー議員とマイク・リー議員から、司法省に対して、Appleが競合他社を排除していることへの懸念を表明する書簡が送付されたそうです。
Counterpoint Researchのデータによると、アメリカ市場でのiPhoneの売り上げが2018年の41%から50%以上へ拡大しているのは、競合するメーカーからは「iMessageのおかげである」との評価がなされているとのことです。
なお、Beeperは現地時間2023年12月22日、公式ブログに「ブロックされるたびにBeeper Miniの信頼性が打撃を受けます。我々は素晴らしい製品と信じているもののために戦いたいと思っていますが、地球上で最大規模の企業とのいたちごっこに勝つことはできません」「最新版はAppleも許容できるようなものにしたつもりですが、ダメだったときに対応する計画はありません」と、かなり弱気の投稿を行い、以前からの予定通り、ソースコードを公開しました。
Beeper - Moving Forward - Beeper Blog
https://blog.beeper.com/p/beeper-moving-forward
GitHub - beeper/imessage: A Matrix-iMessage puppeting bridge.
https://github.com/beeper/imessage