来季も日本へ? MLB復帰を目論むバウアーに渦巻く懸念とリスク「多くのチームが契約を恐れている」

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DeNAで異彩を放ったバウアー。その契約は停滞気味だ。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 23年シーズンに日本球界で異彩を放ったトレバー・バウアー。今オフにメジャー復帰を目指す32歳だが、その去就は依然として不透明なままだ。

 今年3月にDeNAに電撃加入した大物助っ人は、期待以上の活躍を見せた。19先発で2桁勝利(10勝)を記録すると、防御率2.76、WHIP1.15、QS率78.95%とハイアベレージを叩き出し、20年にメジャーリーグでサイ・ヤング賞を獲得した実力派投手としての矜持を示した。

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 シーズン終了後には単年契約が終了。ほどなくして帰国したバウアーは、代理人がメジャーの複数球団と面談を公表するなど、今オフの母国復帰に向け、積極的なアプローチを見せていた。

 しかし、米球界の事情通や現地メディアから聞こえてくるのは、懸念ばかりだ。現地12月7日にはピッツバーグの日刊紙『Post Gazette』のジェイソン・マッキー記者が、読者からの質問に答える記事内で「おそらくどこかの球団は手を差し伸べるかもしれないが、少なくともパイレーツではないし、現時点で明確な情報はない」と指摘。さらにマリナーズの専門サイト『SODO MOJO』も、バウアー獲得を「チームがリスクを背負う気ならあり得る」と表現している。

 元サイ・ヤング賞投手の実力がありながら、ここまで敬遠される理由は明確だ。バウアーは、21年に知人女性へのDVの疑いがあり、禁止規定違反に抵触。メジャーリーグ機構から324試合の長期の出場停止処分(その後、処分は194試合に短縮)を受けていた。今年10月に同問題は和解に至ったのだが、今に至るまで米球界内で「問題児」のレッテルを貼られている感が否めない。

 昨今のメジャーリーグはコンプライアンスを重要視する傾向にあり、とりわけDVなどの暴力問題に関しては厳しく取り締まっている。ゆえに球団がバウアーの素行不良をリスクとして煙たがる可能性は小さくなく、交渉停滞の原因とも言える。

 もっとも、先述の通り、グラウンド上での実力はいまだ健在だ。「マリナーズは守備と投手陣の再構築が必要だ」と現チームを分析する『SODO MOJO』も「はっきり言って、バウアーは球界内で『問題児リスト』に載っている。多くのチームが彼との契約を恐れている」としながらも、「ただ、日本で成功を掴んだ今シーズンの内容とメジャーリーグでの実績を考えれば、アプローチをかけてもいいのは間違いない」と指摘している。

 このまま交渉に進展が見られなければ、日本復帰の可能性も浮上するバウアー。契約の行方から目が離せない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]