ユーロが世界の通貨の中で相対的に強くなっており、12月14日に行われる「欧州中央銀行(ECB)」のECB理事会でも利上げはないだろうとする見方が優勢です。とはいえ、ドイツやオランダと言ったEUの北側諸国はインフレがいまだに続いており、利上げへの要望が高いと言われています

 一方で、フランスなどの南側の国々は、景気減速の懸念から利上げ停止の方向に向かっていると言われています。また利上げが続いてきた英国は12月14日に行われるイングランド銀行の金融政策委員会でも、利上げの可能性は低いとみられています。

――12月の予想レンジを教えてください。

 各国の利上げが見送られる可能性が高まっている12月ですが、やはりドル円では145円台がひとつの分岐点になると思われます。145円を超えて円高が進めば、より円高の方向に移りやすいかもしれません。また、ユーロや英国ポンド等の「クロス円」で円高が進むと、ドル円相場にもその影響が波及してきそうです。12月の市場予想は次の通りです。

●ドル円……1ドル=145円−150円
●ユーロ円……1ユーロ=158円−164円
●ユーロドル……1ユーロ=1.08ドル−1.12ドル 
●英国ポンド円……1ポンド=184円−190円 
●豪ドル円……1豪ドル=96円−99円

――12月相場ではどんな点に注意すべきでしょうか?
 
「トレンド転換」なのかどうかの判断は、とりあえず雇用統計等の指数をチェックすること、あるいは日足で一目均衡表の雲を突き破るような円高になるのかどうかが、ポイントになると思います。また注意したいのは、150円を超えるような円安の場合は、ゆっくりとした値動きになりますが、逆に円高は急激な値動きが予想されます。

 いずれにしても、12月相場は少なくともFOMCが終了する12月11日の週までは、ニュースなどをよくチェックして、急激な値動きに注意しましょう。

 また、年末にかけての相場は、市場参加者が少なくなり、ヘッジファンドなどが相場の急変を仕掛けやすい環境になるため、フラッシュクラッシュのような急激な変化に要注意です。いずれにしても、一方的な思い込みで大きなポジションを作ってしまうようなことのないように、こまめな取引を心がけましょう。(文責:ウエルスアドバイザー編集部)。