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「アイドルマスター シャイニーカラーズ」のライブイベント「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 5.5th Anniversary LIVE 星が見上げた空」DAY1が2023年10月21日、幕張イベントホールにて開催された。

同イベントは「シャイニーカラーズ」の5.5周年を祝うもので、両日出演するユニットの顔ぶれが異なる。

DAY1にはストレイライトより芹沢あさひ役の田中有紀、黛冬優子役の幸村恵理、和泉愛依役の北原沙弥香、ノクチルより浅倉透役の和久井優、樋口円香役の土屋李央、福丸小糸役の田嶌紗蘭、市川雛菜役の岡咲美保、シーズより七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根綺、コメティックより斑鳩ルカ役の川口莉奈、鈴木羽那役の三川華月、郁田はるき役の小澤麗那が出演した。

コメティックはユニットとして初のライブ出演であり、両日を通して出演する。

Text by 中里キリ

会場となったのは幕張イベントホール。この会場が中規模に感じられるのが5.5周年の時間の経過を感じさせる。ステージはメインステージから方形のセンターステージに向けて短めの花道が伸びる設定で、メインステージのサイドからは小型のトロッコステージが発着して会場全体を周回できるようになっていた。開演前には開演時コンサートライトを切るように場内アナウンスがされたのだが、それは今回のライブが天井を含めた星空の演出に力を入れていたから。会場のライトも含め、星と光に包み込まれるような感覚を含めての会場選定だったのかもしれない。

DAY1にはストレイライト、ノクチル、シーズ、そして初ライブのコメティックが出演。2年目以降に「シャイニーカラーズ」に加わった新たな翼だけで行なうライブとなった。本稿では各ユニットごとに見どころをレポートしていく。

●コメティック



紫から虹を追うように照明の色が目まぐるしくかわり、オーバーチュアとともに天井を中心とした会場全体に星空が広がる。幻想的な星と光の演出の中、メインステージに登場したのはカラーレス……黒の衣装に身を包んだコメティックだった。

ライブ全体の開幕を飾ったのは「無自覚アプリオリ」。唯一事前公開されていた新曲を初っ端に持ってくる出し惜しみなしの構成に驚きの歓声が上がった。センター斑鳩ルカ役川口莉奈のがなりを交えたパワフルなボーカル、鈴木羽那役の三川華月のフェミニンでありながら堂々とした歌声、そして郁田はるき役の小澤麗那の軽やかで小悪魔的な歌唱は、まったく違った個性がユニットの中に同居している。チームでフォーメーションダンスを見せる川口の姿ははじめて見る光景で、“自分を隠し通せ”のフレーズで三川と小澤が合わせた手元が川口の表情を覆い隠すアングルは、周到な準備を感じさせた。



DAY1のコンセプトに紐づいていたのが、既存ユニットとコメティックが歴代周年曲を一緒に歌っていく演出だ。「Resonance⁺」ではコメティックとシーズがトロッコに乗った。観客の間近までトロッコで周ると、笑顔少なく伏し目がちな川口と、笑顔でファンサービスに余念のない三川のユニット内温度差がすごい。その中で川口がカメラに小さなハートを気だるげに見せると大きな歓声が上がるのがカリスマたるゆえんだろうか。7番目のユニット・シーズとコメティックの共演は“七色を越えて 更に鮮やかに”を象徴するような2組だった。





「シャイノグラフィ」ではノクチルと共演。歴史の各場面をコメティックと再確認していくような不思議なセットリスト。2番はコメティックメンバーのソロパートが多く、当然音源含めて初歌唱が見られたのがあまりにも貴重だった。やがて時計を逆回しするように、ストレイライトと歌う「Ambitious Eve」にたどり着く。メインステージとセンターステージにふたつのトライアングル(V字?)を描くようなフォーメーションだったが、ここで川口が階段に腰かける崩しを入れる。たったワンアクションで場の空気を持って行ってしまうのがズルい。楽曲が初披露された時にはまだステージに立っていなかった2組が共に歌っているのは感慨深く、幸村恵理と北原沙弥香が肩を寄せて体重を預けあう光景から、重ねてきた時間が感じられた。

そしてコメティックはまだ見ぬ新曲を2曲披露。各楽曲でセンターが異なり、“カラーレス”には楽曲ごとに色を変える意味もあることが明らかになった。



「くだらないや」のセンターは小澤(郁田はるき)。最初は川口センターの立ち位置から入り、イントロのフォーメーションダンスでセンターに入った小澤が歌い出しのロングソロを担当する見せ方の芸が細かい。浮遊感のある自由な空気が郁田はるきの個性を感じさせる楽曲で、ボカロ世代を思わせる人間には歌唱困難な難度に食らいついていく感じだ。三様の個性がしっかりと入っている中で、落ちサビの小澤のとろけるようなエモーショナルな独唱が印象的だった。



「平行線の美学」のセンターは三川(鈴木羽那)。ライブ終盤戦、スクリーンのライブロゴにノイズが走る演出とともにセンターステージに3人が登場。まじわらない直線=平行線をイメージさせる振付やフォーメーションが印象的。その中に散りばめられた“並走して触れ合う テリトリーの中で 手を繋げたならいいね”のフレーズがコメティックというユニットの解像度を上げてくれた気がする。

MCでは、川口がルカとしてヘビーな台詞を言った後に、ガラッとスイッチを変えてとびっきりキュートに本人挨拶をするのが定番になりそうだ。三川は「今日はコメティックの3人で最後まで楽しんでいきたいと思います」、小澤は「プロデューサーさんはじめまして、お会いできてとても嬉しいです。今日はコメティックの良さを全力でお伝えします!」と宣言。パフォーマンス後の三川は緊張しすぎて記憶があまりないとのことだったが、川口が「楽しくパフォーマンスできたと思います」とフォローしていた。

鮮烈なデビューを果たしたカラーレスアイドルたちがDAY2でどんな姿を見せるのかにも要注目だ。

●シーズ



シーズは3周年を記念したユナイトバースプラネタリ衣装をアレンジして登場。特徴的な惑星の輪のような飾りが省かれていたのは、シーズのユニット曲のダンスには耐えきれないという判断だろうか。既存ユニットのトップバッターとして披露したのは「Fashionable」。向かい合った至近距離で歌い出した2人は、手のひらを合わせて指先を絡み合わせているのに、伏し目がちの視線は交差しない距離感が絶妙だ。2人のパフォーマンスはまさに別格と言いたくなる存在感だったが、今日の2人はどこか楽しそうなニュアンスが強かったかもしれない。



「Color Days」では背中合わせのダンスパフォーマンスで、ポップな全体曲をシーズ流にアレンジ。背中合わせのパフォーマンスに、背中を預けあうような信頼感を感じるのが歴史の積み重ねだろうか。この曲の初出時、ラップ調のパートでの2人の歌声の存在感が突出していて、自己紹介のように響いていたのを思い出した。



「OH MY GOD」はシーズの原点と言ってもいい楽曲。「シャイニーカラーズ」でもゲーム世界の中のアイドルたちのライブをMVとして見られる時代になったが、その目線で見てもリアルのシーズのダンスのレベルと情報量は群を抜いていて、スタート時点からとんでもないことをやっていたのだと実感する。その上で、重ねた時間と修練は至高のパフォーマンスにどこか余裕すら感じさせる成熟度を与えていた。





「Fly and Fly」は一人乗りのトロッコに乗って披露。ハイレベルなダンスに特化した楽曲だけに、観客に笑顔でアピールしながらのこの曲は新鮮だ。歌声も心なしか、いつも以上に伸びやかに感じられた。そして立て続けに「SWEETEST BITE」へ。最新CD「CANVAS」シリーズから初披露だ。(シーズ比では)ボーカルで聴かせる楽曲で、どこか懐かしくも新しいテイストはこれまでの楽曲とは違う新しい路線。周年の全体衣装をユニット固有の衣装のように着こなしているのも印象的だった。

●ノクチル



ノクチルは2周年を記念したサンセットスカイパッセージ衣装で登場すると、まずは「Catch the Breeze」を披露。寄り添って登場した4人は軽快なステップを見せると、和久井の清冽な歌い出しから田嶌のキャラクターボイス全開の歌唱でまずはつかまれる。ここまで攻めのユニットが続いた中さわやかで清涼なノクチルは異色と言ってもいいが、さらりと自分たちのフィールドに場を引き寄せる引力と存在感が素晴らしい。



「今しかない瞬間を」。センターステージで向かい合った4人がぴょんと跳ねて客席に向き直る動きがキュート。岡咲の唯一無二のボーカルの歌い出しに、4人の帰り道の情景がぱーっと広がるようだ。間奏の群舞から、背中合わせの和久井と土屋、ふたりの前にしゃがんで客席に手を振る田嶌と岡咲のフォーメーションがとても絵になって、最高の笑顔の花が咲いていた。



「夢が夢じゃなくなるその日まで」は「CANVAS」新曲。重なり合わさった歌声が透明なパワーとエネルギーに満ちている。間奏のそれぞれの個性を感じさせるダンスリレーが、信頼と心のつながりと受け渡しを伝えていた。



後半のノクチル三連投は「Dye the sky.」からスタート。透明感が持ち味のノクチルとはかなりイメージギャップがある楽曲で、岡咲のしっとりと抑えの効いた歌い出しがとても新鮮だ。岡咲と田嶌のキャラクター感強めのボーカルと、和久井と土屋の歌声の双翼の2対2のバランスと配合が素晴らしい。“昨日の私を打ち破って”の高いキックの揃った美しさにハッとなる。透明から自分たちの色に色づいていくような「Dye the sky.」だった。





ここでステージ移動の間をつなぐための特殊イントロが入り、「あの花のように」へ。トロッコと客席の距離が驚くほど近く、この曲で会場を回る姿には夏の日の通学風景のようなさわやかさがある。この曲と続く「いつだって僕らは」は、社会情勢によってライブ環境がままならなかった頃に、デビュー直後のノクチルが数限りなく、大切に歌いこんできた楽曲たちだ。ノクチルのデビューライブはこの日と同じ幕張イベントホールで開催された「THE IDOLM@STER SHINY COLORS MUSIC DAWN」、無観客配信ライブだった。無人のライブでデビューした少女たちが、同じ場所で観客の一番近くまで行けるトロッコで歌う。輝かしい記憶で新しい歴史を上書きしていくような時間だった。

●ストレイライト



ストレイライトは1周年を記念したオーバーキャストモノクローム衣装でセンターステージに登場すると、「Overdrive Emotion」を披露。各ユニットが登場した年度の共通衣装がコンセプトのようだ。イントロのダンス、ニュアンス豊かな表情でストレイライトの世界に引き込むと、疾走する音と共にライブの主導権を掌握していく。



「Timeless Shooting Star」は個別のトロッコで披露。抑制のきいたボーカルとともに見せる不敵な表情に引き込まれる。3人は観客との至近距離のコミュニケーションを楽しんでいる様子で、観客の一人一人と会話をしているかのような距離感が印象的だった。



「Start up Stand up」では「CANVAS」楽曲を初披露。間奏の円を組んでのフォーメーションダンスがあまりに鮮やかで、さらなるダンスの進化を感じる。この曲と言えば男性デスボイスによるコーラスの存在感が強いが、会場ではプロデューサーたちもそれぞれのコールで楽曲に参加していく。MCではプロデューサーがちゃんとデスボイスができているかの実演チェックが入っていたのが微笑ましかった。



仮面を投げ捨てるようなモーションから入るのはもちろん「Hide & Attack」。その後に目力の強さで仮面を外したと感じさせる表現力。背中越しの指先のつややかな動きなどディティールのこだわりがすごい。間奏の和の旋律からギターソロに合わせたダンスの表現力でも見せると、真っ赤なライトの中落ちサビ圧巻の歌い継ぎへ。華やかで鮮やかな無双の舞台だった。



「いつか Shiny Days」は優しくあたたかなボーカル特化曲で、ストレイライトの普段とは違う一面を垣間見せてくれた。優しく繊細な幸村の歌い出しと、北原の情感豊かな歌唱。二番では田中が歌い出しを担当したが、こんなにも想いのこもったエモーショナルな“あさひ”の歌唱姿は初めて見たかもしれない。普段は最強のパフォーマンスで武装した3人のむき出しで瑞々しい想い。アウトロで寄り添って笑顔をかわしながら、大きく手を振る3人の姿が記憶に残った。



コメティックの3曲目披露でライブ本編終了かとも思ったところで、畳みかけるように雪崩込んだのがストレイライトの「Wandering Dream Chaser」だった。らせんを描くように歴史を遡っていくライブのトリは、やはりストレイライトという最古の新星で締めくくるということか。長年磨き上げてきた「Wandering Dream Chaser」の最強のパフォーマンスには、もはや盤石という言葉さえ浮かんでくる。同時にコメティックの世界観にどこか突き放したような諦観があるのに対して、絶対にあきらめずに辿り着く姿勢を叩きつけるような、世代を超えたアンサーでもあるように感じられた。

●アンコール

アンコール前には、「シャイニーカラーズ」にまつわる様々な告知が行なわれた。

コメティックが歌う「無自覚アプリオリ」「くだらないや」「平行線の美学」の3曲が公演後にゲーム内実装され、2023年10月22日0:00より各サブスクリプション型(定額制)音楽ストリーミングサービスで「くだらないや」が先行配信されることが合わせて発表された。

今週末27日より劇場先行公開されるアニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」については、第1章入場者特典として283プロダクションアイドル宣材資料(全16種)の配布が告知されていた。

今後の施策の詳細については、2023年10月24日19:30〜配信予定の「5.5周年生配信 ゲーム&アニメ合同SP!」でも紹介される予定だ。

その他告知系では、湖池屋とノクチルのコラボ商品「ポテチル」の発売決定や、「日清炎メシ」と「シャイニーカラーズ」のコラボ決定に大きな歓声が上がっていた。「炎メシ」については2023年11月6日よりキャンペーンがスタートし、シーズとストレイライトがアンバサダーを務めるとのことだ。



締めのMCでは各ユニットの代表者から感謝と想いのこもった挨拶が行なわれると、全員での「Multicolored Sky」へ。フリームーブ多めの構成で、各ユニットのメンバー同士の仲の良い姿がそこかしこで見ることができた。その中で誰もがあっとなったのが、ルカというアイドルの特性上、あまり人と絡まずに手持ち無沙汰そうにしていた川口の背中に、山根がそっと手を添えたこと。ずっと“ルカらしさ”に徹していた川口がこぼれるような笑顔を見せた時には思わず声が出てしまった。



ライブを締めくくるラストナンバーは「虹の行方」。イントロの旋律と振付に合わせて、ステージ上に大きな虹がかかる。虹の七色と共に、星を散りばめた“黒”があるのはこのライブを象徴するようなビジュアルだ。オリジン4ユニット抜きにコメティックを加えたパート分けはとても新鮮で、虹には様々な色合いがあるのだなと改めて感じさせられた。

歌い終えた12人は口々にありがとうの言葉を伝えながら、ラストは退場ゲートに記念撮影のように収まった。そのビジュアルを見て、今日のライブの出演人数の少なさに改めて驚く。この人数でこれだけの密度と満足感のライブを提供できることに、「アイドルマスター」と「シャイニーカラーズ」の可能性を感じる想いだった。

充実のライブは、はじまりのユニットたちが集うDAY2へと続く。

THE IDOLM@STER SHINY COLORS 5.5th Anniversary LIVE 星が見上げた空 DAY1

2023.10.21. 幕張イベントホール

<セットリスト>

M01:無自覚アプリオリ(コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)

M02:Fashionable(シーズ/紫月杏朱彩、山根綺)

M03:Overdrive Emotion(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)

M04:Catch the Breeze(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)

M05:Color Days(シーズ/紫月杏朱彩、山根綺)

M06:Resonance⁺(シーズ/紫月杏朱彩、山根綺 + コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)

M07:Timeless Shooting Star(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)

M08:Start up Stand up(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)

M09:OH MY GOD(シーズ/紫月杏朱彩、山根綺)

M10:今しかない瞬間を(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)

M11:夢が夢じゃなくなるその日まで(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)

M12:シャイノグラフィ(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保 + コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)

M13:Fly and Fly(シーズ/紫月杏朱彩、山根綺)

M14:SWEETEST BITE(シーズ/紫月杏朱彩、山根綺)

M15:Hide & Attack(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)

M16:くだらないや(コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)

M17:Dye the sky.(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)

M18:あの花のように(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)

M19:いつだって僕らは(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)

M20:Ambitious Eve(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香 + コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)

M21:いつか Shiny Days(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)

M22:平行線の美学(コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)

M23:Wandering Dream Chaser(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)

M24:Multicolored Sky(シャイニーカラーズ)

M25:虹の行方(シャイニーカラーズ)

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THE IDOLM@STER SHINY COLORS公式サイト

https://shinycolors.idolmaster.jp/