イーロン・マスク氏が2022年にX(旧Twitter)を買収して以降、多くの主要広告主がXへの広告掲載を停止し、同社の広告収入が低迷するなど、Xは主要な収入源である広告事業で苦境に立たされています。しかし、Xのリンダ・ヤッカリーノCEOが、過去12週間でXにおける上位100社の広告主のうち約90%がXに戻ってきたことを明かし、2024年にXが黒字化する見込みであることを報告しました。

X CEO Yaccarino says Musk-owned platform could turn a profit next year | Reuters

https://www.reuters.com/technology/x-ceo-yaccarino-says-musk-owned-platform-could-turn-profit-next-year-2023-09-28/



X will be profitable in 2024, CEO claims in tense interview | TechCrunch

https://techcrunch.com/2023/09/27/x-will-be-profitable-in-2024-ceo-claims-in-tense-interview/

Marco’s Pizza CIO Says Robotic Delivery Will Take Over Cities

https://www.pymnts.com/news/social-commerce/2023/x-ceo-linda-yaccarino-says-1500-advertisers-have-returned/

ヤッカリーノ氏は2023年9月27日に行われた「Code 2023」での基調講演に登壇し、「2024年初頭にXは黒字化する見込みです」と報告しました。また、アクティブユーザー数が減少している問題について触れ、「アクティブユーザー数は減少したものの、全体的なXの使用時間は2023年6月以降、前向きな傾向にあります」と述べています。

また、ヤッカリーノ氏は「9月27日までの過去12週間で、約1500社もの広告主がプラットフォームに戻り、Xの主要な広告主の上位100社のうち、約90%が広告出稿を再開しました」と報告しています。Xではマスク氏によるX買収以降、広告主が出稿を停止していることが指摘されており、これに伴って広告収入が激減していることが報じられていました。さらに、マスク氏が「Xの広告売上不振の原因はユダヤ人団体」と主張し、告訴を示唆していることについて、ヤッカリーノ氏は「ユダヤ人団体がXの安全面での進歩を認めなかったことは非常に残念です」と述べています。

Twitterの主要広告主の半数以上が広告出稿を停止、広告による収益も急落 - GIGAZINE



Xでは2023年4月までに約8000人の従業員のうち、約6500人を解雇したことが報告されています。度重なる従業員削減を行うことで支出が抑えられたXは、黒字化間近に迫っていることをマスク氏自身が報告しています。一方で、Xは解雇された従業員に対し退職金を依然として支払っていないことや、さまざまなオフィスの家賃を滞納していることをめぐって複数の訴訟が提起されています。

Twitterの社員数が8000人から1500人に激減したことがイーロン・マスクのインタビューで発覚、ただしTwitterはまもなく黒字化に成功しそうなことも明らかに - GIGAZINE



ヤッカリーノ氏は、マスク氏によるX買収前には存在しなかった、「特定のコンテンツの隣に広告が表示されないようにする」新たなコンテンツモデレーションツールと機能を導入したことを報告。また、マスク氏がX上で数多くのポストを行うことの是非について「言論の自由があるため、問題ありません」と擁護しています。

Xをめぐっては、海外メディアのFinancial Timesが「ヤッカリーノ氏が2023年10月5日に、マスク氏がXを買収する際に資金提供を行った7つの銀行と直接面会し、Xの再建計画を説明する予定です」と報じています。Financial Timesによると、ヤッカリーノ氏は2023年10月5日に、モルガン・スタンレー証券やバンク・オブ・アメリカ、バークレイズ銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ、BNPパリバ、みずほ銀行、ソシエテ・ジェネラルとの会談を行うとのこと。

これらの銀行は、マスク氏のX買収に伴って合計約130億ドル(約1兆9000億円)の債務を抱えています。関係者によると、今回の会談でヤッカリーノ氏は、広告収入の増加やサブスクリプションサービスへのさらなる注力を行うことで、Xを再建するための計画があることを銀行に納得させる必要があるとのこと。



一方で、一部の銀行家は「Xを離れた広告主を再び引き戻すためには、ヤッカリーノ氏はマスク氏をXから追い出す必要があります」との厳しい意見を述べています。また「マスク氏がユーザー離れの原因になるポストなどを続けている現状では、広告主を引き戻す方法が不透明です」と語っています。

10月に行われる予定の会談について、Xや各銀行サイドはコメントを控えています。