大量の「動物の足の骨」と共に埋葬された青銅器時代の少女の遺体が発見される
カザフスタンのアルファラビカザフスタン国立大学とイギリスのオックスフォード大学の考古学チームが、東カザフスタン州ザイサン地区にある発掘サイトから、180個もの「動物の足の骨」と共に埋葬された少女の遺体を発掘しました。遺体は青銅器時代に埋葬されたもので、動物の骨以外にも青銅製の円盤や鏡などさまざまな副葬品が見つかったとのことです。
Kazakh, Cambridge Archaeological Expedition Finds Burial Mound - The Astana Times
Bronze Age girl buried with more than 150 animal ankle bones, potentially to help her to the next world | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/bronze-age-girl-buried-with-more-than-150-animal-ankle-bones-potentially-to-help-her-to-the-next-world
アルファラビカザフスタン国立大学とオックスフォード大学の考古学チームは、2017年からカザフスタン東部にあるAinabulak-Temirsu(アイナブラク-テミルス)という発掘サイトで古墳や古代集落の発掘を行ってきました。
カザフスタン科学・高等教育省は2023年8月2日に、考古学チームの発掘調査によって青銅器時代に埋葬された少女が発見されたと報告しました。研究チームは少女の身元を特定できていませんが、豊富な副葬品と共に埋葬されていたことから、中央アジアで紀元前3200年〜紀元前1000年頃まで続いた青銅器時代のコミュニティにおいて、少女の社会的階層が高かったことがうかがえるとのこと。
アルファラビカザフスタン国立大学の考古学者で発掘チームを率いているRinat Zhumatayev氏は、科学系メディアのLive Scienceに送った電子メールで、「少女は左向きにかがんで埋葬されていました。両耳には小さなワイヤーのイヤリングがあり、首にはビーズが巻かれていました」と説明しています。放射性炭素年代測定により、少女は埋葬された時点で12〜15歳であったことが明らかになっています。
今回発掘された遺体の特徴として、180個もの「動物の足関節の骨」と共に埋葬されていたという点が挙げられました。これらの骨はヒツジまたはウシのものとみられており、儀式的な意味合いを持っていたと考えられています。
これまでにも、中央アジアでは大量の動物の骨と共に埋葬された古代の遺体が見つかっていますが、今回の遺体は特に数が多くぜいたくなものだとのこと。一部の研究者は、足の骨は「儀式の実践」の一部として埋葬されたものであり、瞑想(めいそう)に使用されたと考えています。しかし、他の研究者は骨を「幸福や幸運の象徴」と見なしているそうで、Zhumatayev氏は「ある世界(今世)から別の世界への移動が成功することを祈るため」に骨が埋葬された可能性があると述べています。
また、少女の副葬品は動物の足の骨以外にも、ウシの肩甲骨や金属製の剣の柄、鏡、青銅製のボウルなど多種多様でした。中でも考古学者らが注目しているのが、中央にカエルの図柄が彫られた青銅製の円盤です。カザフスタンでこのような物体が見つかったのは今回が初とのことで、Zhumatayev氏は「古代から多くの民族の間で、カエルのイメージはさまざまな意味を持っていました。それは産気づいた女性や水の崇拝などと関連しています……しかし、(その真の意味を決定するには)さらなる研究が必要です」とコメントしました。
また、同じく2023年8月には、今回の発掘サイトより北にあるアバイ地区で「六角形の土台を持つ階段ピラミッド」も発掘されたとのことです。
Archaeologists Discover Bronze Age Step Pyramid in the Abai Region - The Astana Times
https://astanatimes.com/2023/08/archaeologists-discover-bronze-age-step-pyramid-in-the-abai-region/