東武の新型特急スペーシアX「5つの“スゴイ”」 乗る前から特別な“走るホテル” お値段も特別
東武鉄道の新型特急「スペーシアX」は、約33年ぶりのフラッグシップ特急として、特別な要素が満載の車両となっています。どこがスゴいのでしょうか。
約33年ぶりのフラッグシップ特急の実力は?
東武鉄道の新型特急「スペーシアX」が2023年7月15日(土)から運行を開始します。1990年の旧スペーシアの導入から約33年ぶりのフラッグシップ特急として、様々な点が既存の特急よりも大幅に変わっています。
N100系「スペーシアX」(乗りものニュース編集部撮影)。
●定員
「スペーシアX」の定員は212人で、旧スペーシアの現行の288人から大幅に減少しています。それでいて座席の種類は国内最多。「コックピットスイート」「コンパートメント」「プレミアムシート」「スタンダードシート」「コックピットラウンジ」「ボックスシート」を備えます。特に「コックピットスイート」は、私鉄特急最大の11平方メートルの個室となっており、鉄道車両というより「走るホテル」のようです。定員を抑え、空間を贅沢に使って快適性を高めています。
●車内販売
近年、全国的に車内販売が縮小傾向にありますが、「スペーシアX」では車内カフェのメニューが目を見張るほど充実しています。車内カフェは1号車の「コックピットラウンジ」に併設されており、ビールやコーヒー、スイーツなど、沿線の事業者と共同で開発した商品を多数取り扱う予定です。現行の「スペーシア」にも、たこ焼きやフライドポテトなどを販売するビュッフェカウンター(現在は営業終了)がありましたが、「スペーシアX」ではより日光らしいメニューを楽しむことができます。
●浅草駅に「スペーシアX」専用ホーム
「スペーシアX」の運行にあわせ、浅草駅がリニューアルされ、5番線は同列車の専用ホームとなります。ホームの壁は木目調となり、光で演出されたデザインが採用されました。乗車する前から、それ以外の列車と動線を分け、特別感を演出しています。
●乗務員
「スペーシアX」を担当するのは、春日部乗務管区に所属する選りすぐりの乗務員だそう。特急専用の制服を着用し、襟部分に「スペーシアX」専属乗務員であることを示すロゴマークを付けています。車内カフェのスタッフも、オリジナルのスカーフや蝶ネクタイを着用しているといいます。
●料金
「スペーシアX」は、「スペーシア」や「リバティ」と異なる特急料金が適用されます。「スペーシア」や「リバティ」の浅草〜東武日光間の特急料金は1650円ですが、「スペーシアX」の場合は「スタンダードシート」が1940円、「プレミアムシート」は2520円となり、個室の場合は特別料金が加算されていきます。
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このほか、デッキの天窓にまでLCDのガラスサイネージが取り付けられていたり、香りを放出するアロマディフューザーが備えられていたりするなど、車両には「フラッグシップ特急」としての特別なこだわりが多く盛り込まれています。
なお、「スペーシアX」は、浅草〜東武日光・鬼怒川温泉間のみで運行される予定。現時点では「スカイツリーライナー」(浅草〜春日部)のような短距離の通勤特急で使われる予定はありません。
「スペーシア」の伝統を受け継ぎつつ、あらゆる面で進化した特別な新列車が、いよいよ走り出します。