廃止か存続か 北陸鉄道石川線、8月までに今後の在り方決定 運転手不足でバス転換も危うし
“詰んだ”状態かもしれません。
内部補助も通用しなくなってきた
北陸鉄道石川線(画像:写真AC)。
北陸鉄道と沿線自治体がつくる「石川中央都市圏地域公共交通協議会」は2023年7月、同社の石川線について今後の在り方を検討。廃止もひとつの選択肢に、BRT(バス高速輸送システム)への転換などが議論されました。最終的な結論は、8月にも出される見込みです。
石川線は、石川県金沢市の野町駅から白山市の鶴来駅までの約14kmを結ぶ路線です。同線の利用者は約89万人/年であり、うち定期利用者が約49万人/年と半数以上を占めます。しかし、同線の輸送密度(1日の平均輸送人員)は1391人/日と、国鉄民営化の際にバス転換の目安のひとつとされた4000人/日未満を大きく下回るなど、苦しい経営です。
加えて人口減少や新型コロナウイルス感染症の蔓延などで、鉄道の利用者は落ち込んでいます。最近では2009(平成21)年に、鶴来〜加賀一の宮間2.1kmが廃止されました。同社によると、赤字の鉄道事業を高速バスなどの収益で維持してきたものの(内部補助)、コロナ禍や燃料費高騰の影響を受け、この経営スタイルも成り立たなくなっているとしています。
検討会では先述のBRT化のほか、バス転換や、鉄道存続ならば線路用地や設備などを自治体へ譲渡し上下分離方式にするといった案が出ました。ただしバス転換の場合、そもそもバス運転手も不足しているという問題にも直面します。
石川中央都市圏地域公共交通協議会は、公共交通が移動の際の選択肢となるような利便性向上策を検討することが重要だとしています。