ショットトラップは大丈夫なんでしょうか?

旧ソ連系のT-72戦車にも適合

 トルコ国営のロケット・ミサイル企業であるロケットサンは2023年6月16日、独自開発の新型砲塔を備えたアップグレード型M60戦車を同国陸軍に納入したと発表しました。

 新型砲塔はモジュラー式装甲を備えているのが特徴で、既存のM60A3戦車の鋳造砲塔(14.5t)と比べ、1.5t軽い約13tに仕上がっているとのこと。しかし、複合装甲や爆発反応装甲(ERA)などで構成されているため、RPG(対戦車ロケット)や徹甲弾の直撃に耐えられる、既存砲塔よりも優れた防御力を持っているといいます。

 また形状をシャープかつ平べったくすることで、前面投影面積を少なくし、被弾率を低下させています。さらに前面や側面、上部は、先駆弾頭と主弾頭が前後に配置されているタンデム弾頭型の対戦車ミサイルにも耐えられるようERAブロックの構成を工夫しているそうです。


トルコ国営企業のロケットサンが開発した新型砲塔「MZK」を搭載したM60A3戦車のアップグレード型(画像:ロケットサン)。

 現代の対戦車ミサイルは、比較的装甲の薄い砲塔上部に「トップアタック」モードで攻撃できるものが多いため、上部にERAブロックを配置することは現代戦を戦い抜くうえで重要だとしています。

 加えて、360度全周をカバーするレーザー警戒システムと、外部視察装置を備えることで、生残性を高めているほか、必要に応じてリモートウエポンシステム(遠隔操作銃塔)を砲塔に設置することも可能です。

 ロケットサンの説明によると、この砲塔はMZK(Moduler Zirhli Kule)といい、T-72戦車にも適合するとのこと。予算の都合から最新戦車の導入が難しい国々に対し、新たな選択肢を与えるもので、なおかつ既存の戦車ではエンジンを換装しないと大幅なアップグレード化が難しい場合でも対応するパッケージだといいます。

 とうぜん、このようなことは自国、トルコ陸軍にも当てはまり、近代化改修が施されていないM60A3戦車の性能を向上するための新たな方法として有効だとしています。