銀座線「幻の駅」付近で巨大再開発が具体化 秋葉原オノデンやエディオンの地区に「超高層ビル」
銀座線の「幻の駅」として知られる万世橋駅の遺構付近で、巨大な再開発計画が具体化しています。駅の遺構に影響はあるのでしょうか。
アキバの電気街に高さ170メートルの超高層ビル計画
東京メトロ銀座線の末広町〜神田間には、かつて臨時駅として万世橋駅が設置されていました。銀座線を上野から新橋駅へ延伸する際、神田川をくぐる工事が難航したため、対岸の神田駅へ開通するまで、暫定的に川の手前へ駅を設けたのです。使用された期間は1930(昭和5)年1月から、神田駅が開業した1931(昭和6)年11月までのわずか2年弱でした。
(画像:写真AC)。
地下にある駅の跡地には遺構が残っており、東京メトロによると、鉄道施設のメンテナンスを行う際の資材置き場として活用しているといいます。この「幻の駅」の遺構がある万世橋交差点付近では現在、再開発計画が具体化しており、今後大きく変貌する見込みです。
この「外神田一丁目南部地区」はJR秋葉原駅の西側にあり、ラオックスやエディオン、オノデンなどの家電量販店が集積しています。ただ、建物の老朽化が進んでいるほか、幅員が狭い道路が存在し、観光客を受け入れる空間が不足しているなどの課題も抱えています。2010年3月頃に区がまちづくりの基本構想を策定しており、開発の検討が進められてきました。
東京都千代田区がまとめた都市計画案によると、再開発事業は敷地を「A街区」と「B街区」に分けたうえで、複合ビルを建設することを検討しています。家電量販店が集積する「A街区」には高さ170メートル、延床面積約10万2700平方メートルの超高層ビルの建設を想定しており、オフィスや店舗などが入ります。「B街区」の施設規模は高さ50メートル、延床面積約1万3250平方メートルで、用途は店舗、宿泊施設、集会所などを想定しています。
再開発ビルには、秋葉原駅周辺の潜在力を最大限に活かせる機能の誘導を目指すほか、神田川を意識した歩行者ネットワークなどを構築するとしています。現在は川沿いの建物が壁のように連なっていますが、船着場も整備される予定です。
再開発事業の工事は、銀座線の万世橋駅の遺構に影響を及ぼすのでしょうか。東京メトロによると「この再開発計画は、当社が保有する施設に影響がある事業ではありません」とのこと。再開発で地上が様変わりしても、地下の遺構は今後もこれまで通りの姿を保ちそうです。